あれ?見当たらない。

凛は自室の箪笥の前で焦っていた。
何度見ても1枚ないのである。

何がないのか。それは、パンツである。

凛の脳裏に新聞で見た『怪盗ふんどし仮面』のニュースがよぎった。

まさか…。あのニュースを見てから、注意してたし、まずわざわざ警察の屯所に踏み入るような馬鹿な真似はしないでしょ。

そう思案しながら廊下をあるいていると、土方と沖田が目の前に見えた。いつも通り飄々とした顔の沖田とは一転して、土方は片手に何かを握りしめながら、何やら殺気立っていた。

「おはようございます。朝からそんな不機嫌で、どうしたんですか?」

「…なんでもねー」

凛からの問いかけに何か隠すように土方は目をそらした。しかし、そんな土方の思いなど関係ないように沖田はあっさりとばらした。

「凛さん。『ふんどし仮面』って知ってやす?どうやら貰っちまったようですよ。土方さんも。例の施しパンツを」

「え…」

土方さんは確かモテるはずだ、そんなまさかと思い、土方を見つめると殺気が大きくなった。どうやら事実らしい。
施しパンツを貰うことは男にとったら不名誉な証だ。こんなに殺気立つのも無理ないかと凛が思っていると、沖田は土方の手から例の施しパンツを取り、凛にぴらっと見せた。

「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

凛は叫び声をあげて、光の速さで沖田の手からパンツを奪い隊服の下にしまった。

「は…?」

土方が凛の方を見ると、顔を真っ赤にし、俯きながら羞恥心に震えていた。

「え…まさか…」

「それにしてもなかなかエロいの履いてますね。黒のレース、さらに紐パンたァ驚いたぜ」

土方が彼女の様子からありありとわかる事実に驚いていると、沖田が空気も読まずいけしゃあしゃあと言い放った。

「た、た、誕生日に栗子ちゃんからもらったの、、、!」

凛は顔を赤くしがら、決して自分で選んで買ったわけではないと慌てて否定した。

「まぁおかげで楽しめました。屯所の洗濯場で拾って、土方さんへのいたずらに使えると思って使っちまいやした。」

沖田の口から放たれた新事実に凛と土方は一瞬固まった。

「「総悟 / くん!!!」」

その後、凛は沖田と1日口をきかなかったが、沖田に甘い彼女は自分も洗濯場に忘れたのがいけなかったと思い沖田を許した。

土方はしばらくの間、凛の姿を見かける度にあのパンツ姿の凛が頭によぎるようになってしまった。その度に、その煩悩を払うように頭を打ち付ける土方が目撃された。

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