5月23日




どうしたの?と聞かれて困るのは俺の下心のせいか。

いや、別にね、などと流してみるけどお前にはきかないみたいだね。

「エロい目で私のこと見てる」
「え、うそ」
「うっそー」
「はあ」

正直に、無性にお前の唇に触れたくなったなんて言ったら、本当にスケベと言われてオアズケを食らってしまう。


「もしかして、リップ変えた?」
「え!?気付いたの!?」
「いつもと少し違う気がしてね」
「えー、カカシが気付いてくれるなんて意外」

そりゃ、お前の唇の膨らみとか、話す時や笑う時に変わるカタチとか、リップを塗った艶っぽい輝りも塗ってない素肌の血色も、どうしようもなく好きで隙さえあれば観察してるのなんて、お前は気付いてないでしょ?
本当は良くリップを変えているのには気付いてるけど、いつも言ってたら気持ち悪がられちゃうじゃない。

「その色もいいね」
「雑誌で見てね、欲しくて買いに行ったんだ」

それも可愛いよなんて、心から褒めれば素直に喜んでくれて俺も嬉しい。

「ねえ、カカシ」
「ん?」

すっごく嬉しい時って、どうしたら良いのかな?なんて可愛い質問に俺の下心が再び疼く。

「名前、おいで」

教えてあげるよなんてカッコつけてみたけれど。

「いいでしょ?名前」

仕方ない人だねえ、と君がつま先立ちをしてくれるから俺はマスクを下ろして膝を屈めた。






5月23日 end.

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