1月2日
俺は正月は嫌いだ。
周りは浮かれて、飲めや歌えやのどんちゃん騒ぎ。かと思いきや、日々の修練を忘れて眠りこける奴もいる。
お前達、この瞬間に敵が攻め込んで来たらどうするんだ。対応できるのか。それに、そもそも浮かれた雰囲気は苦手だ。
そう、ずっと思っていた。
「カカシ、起きて」
揺すられて目を開ければ、エプロンを掛けた愛しい人の姿。
「……起きた」
「んふふ、おはよう」
「ん、おはよ」
開いた扉の向こうから微かに出汁の香りが漂う。
「お雑煮作ったのよ。食べる?」
「うん、食べる」
「食べたら、初詣も行こうか」
「うん」
ベッドから起き上がり顔を洗い、キッチンに向かえば名前が俺の椀に出汁の香る汁を注ぎ込んでいた。
「お寝坊さん、寝癖ついてるよ」
「正月くらい許してよ」
名前の可愛らしい小さな笑い声。
テーブルについて、手を合わせて目を合わせる。
「さて、名前いつもの」
「はい」
名前は、少し大袈裟に深呼吸をして白い歯を覗かせながらニコリと笑んだ。
「今年も宜しくお願いします」
「宜しくね」
「さて、行きますよ。元気よくね」
俺も名前の真似をして、深呼吸。それが終わるのを見て、名前は頷いた。
「いたーだきます!」
「いただきます」
「そして」
「ん?」
「あけましておめでとうございます!」
「……あけましておめでとう」
やっぱり、俺は浮かれた正月は苦手だ。
ほら、こんなに幸せで平和ボケしてしまう。
1月2日 end.
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