6月12日




ベッドの中で、おはようのキス。これってすごく恋人らしい。


目が覚めた時、すぐにカカシの寝顔が目の前にあって名前は恥ずかしくなった。

そっか、私達は恋人なんだ。改めて事実を確認して恥ずかしくなる。

昨日、長年の友達だったカカシから愛の告白を受け、名前は受け入れた。早速その晩には家に連れ込まれ、一瞬不安になったが、可愛い恋人に腕枕をするのが夢だったんだ。そう言って、カカシは名前を文字通り抱き締めながら夜を過ごした。

「おはよ」
「うん、おはよう」

いつもの挨拶も気恥ずかしくなって、カカシの視線から逃れるようにカカシの腕に顔を埋めた。

「おーい、名前」

強い力で引き込まれたら、そこは真っ白なシーツの中。
ほんのり明るい世界で、カカシに見つめられたなら、名前の時はいとも簡単に止まってしまう。

「名前、おはよ」
「うん、おはよう」
「じゃあ、恋人らしいこと2つ目」
「ん?」

カカシの顔が近付いて、重ねられた唇。見た目よりも柔らかくて、表現するならフニャ、そんな感じ。
いち、に、さん、と数えた後、唇を離し、カカシは満足そうだ。

「おはようのキス、良いよね」
「……うん、とっても」
「じゃあ、3つ目」
「3つ目?」

カカシの指が、名前が身に纏うカカシのパジャマのボタンを外しに掛かる。

「え?ちょっと、早いよ」
「全然早くなんか無いよ」
「え?」

カカシって恋人とはすぐに体を重ねる人だったんだ。意外だ。
何となくカカシとの相違点を見つけて、名前の胸はチクリと痛む。

「全然早くないから」
「は、早いでしょ……」
「名前が俺のこと、友達だって思ってる時から好きだったんだ」

ボタンを完全に外され、カカシの眼前にはレースを胸元に纏った名前の肌が晒される。

「ずっと待ってたんだから」
「ずっと?」

名前の腹の真ん中にある小さなヘソを、カカシの中指が撫でる。

「名前が俺を好きになってくれるまで、何年も待ったんだから。だから、早くないの」

太腿に当たるカカシの男の部分に、名前の体が熱くなる。
こんなに必死なカカシは初めて見た。ずっと友達だったのに、そんな顔知らなかった。

「カカシ……待たせて、ごめんね?」

カカシの指が肩紐を下ろしに掛かる。

あぁ、これってすごく恋人らしい。

余裕の思考が、カカシの言葉によってすぐに消し去られてしまうまであと1秒。

「許してあげないよ、可愛い声聞かせてくれるまではね」

カカシに許して貰えるまで、あと5分。






6月12日 end.

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