08




それから、小さな飛行機に乗り換えて離島に到着した。名前でも知っている有名な島だった。

真新しい空港に降り立ち、玄関口に出るとホテル名のバナーを持った人達が何人かいた。その中の1人にカカシが近寄る。

「すみません、予約したはたけです。合ってますかね」
「はたけ様、お待ちしておりました」

ホテルの送迎を担当する運転手だった。案内されて乗り心地の良さそうな車に乗り込むと、運転手は丁寧にアクセルを踏んだ。

海沿いの道路、エメラルドグリーンとコバルトブルーのグラデーション。空と海が互いの色を照らし合っているかのようだった。綺麗な空に負けない美しさの海。

「カカシ、見て!綺麗だよ!」
「本当だ。綺麗だね」

自分が今まで見たことのある海は、東京湾とか横浜や湘南の海だけだ。別にその海が汚いと言いたい訳では無いが、比べてしまうと美しさが段違い過ぎるのだ。テレビや雑誌で見たものよりも、思っていたよりずっと感動する。

「綺麗な海って本当にあるんだね」
「ハハ、本当だね」
「海入りたいな」
「うん。もちろん入ろうよ」

綺麗な海に驚いて、夢中で眺めているとあっと言う間にホテルに着いた。
運転手曰く、コテージのような建物がいくつも点在して、それぞれが客室として独立しているホテルらしい。入口の建物でチェックインを済ませると、すぐに客室に案内された。
建物を囲む高い生垣の中に入ると、オシャレなリゾート感のある平屋のコテージが建っていた。中心の部屋はリビングルームで壁が二面採光のガラス張りになっていた。大きなソファとカウチ、バーになる小さなカウンターがある。すぐ隣にダイニングルームとキッチン、反対側にはバスルームがあった。
他にはベッドルームが2部屋あり、どちらも見たことないほど大きなベッドが置いてあった。自分の家に置いたら、確実に部屋は埋まってしまうくらい大きかった。

案内の従業員がいなくなった瞬間に、名前はカカシに抱き着いた。

「カカシ、こんな素敵な旅行をありがとう!」
「とんでもない」
「こんなプールのあるホテル初めてでびっくりした」
「うん。俺も初めて」
「え、そうなの?」
「そりゃそうよ。名前の為にしかこんな気合い入れないって」

リビングルームの目の前にプライベートプールがある。プールの周りは、ハイビスカスが植えてありちょっとした庭のようになっていた。高い生垣と塀のお陰で外からは見えない。

「プール、好きなだけ入ってよ」
「カカシも一緒に入ろうね」
「もちろん」

名前の興奮っぷりに、カカシは奮発して良かったと心底思った。
あらゆる手段で稼いだ金を、名前の為に使えるなんてこの上なく有意義だ。

「今日は、ホテルの夕食を予約してあるからね。移動で疲れたし、それまで部屋でゆっくりしてようか」
「うん!」

名前とカカシは、荷物を広げた。これから1週間、この部屋にお世話になる。服はハンガーに掛けてクローゼットとチェストにしまい、靴はエントランスの大きな靴箱に並べた。

「明日、服を買いに行こうか。名前が着たいやつ、全部買おう」
「必要な分はあるし、大丈夫だよ」
「だーめ、俺が買いたいんだから従いなさいよ」
「わ、分かった」

いざ明日になって買い物に行けば、きっと遠慮してしまうだろう。折角だから1着は何か買ってもらおう。カカシは甘えられるのが好きみたいだし、本当は買って貰えるのは凄く嬉しい。でも、こんな素敵なホテルに泊まらせて貰えて、きっと今晩の食事だって立派だろう。それで、物まで沢山買って貰ったらそれは違うと思うのだ。
名前は、おこがましいかもしれないが、カカシと対等でありたい。カカシが自分を楽しませて幸せにしてくれるように、名前もカカシを楽しんで欲しいし幸せにしたいと思う。ただ、カカシと違って自分はしがないただの会社員で、とても金銭面では施すことは出来ないのがネックだが。
いつも、何か自分に出来ることはあるだろうかと考えていた。

荷物の少ない名前は、すぐに荷物を広げ終えて客室の真ん中にある大きなソファに寝転がった。カカシの手伝いを申し出たが、疲れたでしょと断られてしまった。
東京からの飛行機は良い席を座らせてもらい、離島までは小さな飛行機だったが短時間で終わった。丁寧な運転手のお迎えまであって、こんなに快適な移動は初めてだった。疲れたなんて、全く感じない。

カウチから、床から天井まで伸びたガラスの扉越しに南の島の空を眺めていた。風が強いからか雲の流れは早く、空は澄み切って青く凪いている。
この空を見ているだけで、1日過ごせそうだ。空を見ていると心が落ち着く。

「きれい……」

目蓋が次第に重くなる。これは眠っちゃう奴だ。んー、でも我慢しなきゃ。

「……んー」

身体が重い。
違和感に名前は目を開ける。目の前にカカシの顔。

「え、カカシ!?」
「名前の寝顔が可愛くてね」
「もしかして、寝てた?」
「もうね、ぐっすり」

カカシがソファの上に寝転がる名前に跨っていた。
そのまま唇を重ねられ、名前は応えようと唇を緩く開いた。舌が触れ合う、それだけで堪らなく気持ちが良い。カカシとキスすると思う、このまま行き着く先まで行き切って、と。

「名前とのキスって、何でこんなに気持ち良いの」
「わたしも、本当に気持ちいい」
「名前も?嬉しいなあ」

カカシも、きっと自分と同じように気持ち良い。カカシの舌も、指も、何もかもが触れてくるだけで気持ち良い。こんなことカカシが初めてだ。不思議で不思議で堪らない。もしかして、これが身体の相性が良いと言うものなのか。

カカシの手が、名前のシャツを捲る。
やっぱりそうなのかと、期待に胸が膨らむ。

「今日も明日も名前のこと、いっぱい可愛がるからね」
「う、うん」
「名前、俺に全部ちょーだいよ」
「うん」
「嫌になるかも知れないくらい、俺は名前が欲しいよ?」
「カカシになら、なにされても嫌にならないよ」

名前の期待通り、カカシもそのつもりなのだ。
シャツが首元まで捲り上げられて、下着が露わになる。カカシの為に買った下着。前回は裸にバスローブだったが、カカシとのデートの度に出来るだけ女の子らしい下着を上下揃えるようにしている。

「可愛いね、俺の為にって思っていいかな?」
「う、うん……」
「嬉しいなあ。こんな可愛いの外すの勿体ないけど……ごめんね」

カカシは、ホックを外すと上にずらして名前の胸を零れさせる。
既にピンと張った胸の先端が晒される。カカシが柔らかく揉みしだくと、その先端を口に含んだ。飴玉を転がすように、尖らせた舌先が名前を刺激する。

カカシが興奮しているのが伝わってくる。名前も、前よりも緊張が和らいでいて素直に体に興奮が移り込んでくる。
ふたつの膨らみを両手で鷲掴みにされる。形が変わる程に揉みしだかれ、カカシが食い荒らすかのようにかぶりつく。カカシの歯が柔らかく当たった。

カカシの指が身体に触れるだけで、体が甘く痺れる。どうしよう、気持ち良い。またこれ以上気持ち良くされたら、おかしくなってしまいそうだ。

カカシが、名前の履いていた下着をスカートの下から取り去る。スカートも捲られて、着ているのに全て晒されている状況に恥ずかしくなる。

カカシは名前の裸体を眺めながら、うっとりと唇を舐めた。
荷物を片付け終えて、名前を探すと眠っていた。大人しくなったなと思っていれば、コロンとソファの上に転がっていた。
前にホテルに泊まっていた時もだが、ちょっと目を離すとすぐに寝ていて子供みたいで可愛いと思う。こっそり寝顔を撮ったりしているが、名前には黙っておこう。カメラの綺麗なスマートフォンを買っていて良かったと思う。

今すぐ食べてしまいたいと衝動に駆られたが、まだまだ名前を全身余すことなく味わいたい。
カカシは、名前の膝を割ると、その真ん中に顔を埋めた。名前の匂いと女の匂いが混ざり、カカシの鼻腔を擽る。ヒダを指で広げて、その中の突起に吸い付いた。奥から蜜が溢れて来る。カカシの舌に名前の味が広がる。

「美味しい」
「そんな……」

密かに硬くなった突起に、舌全体で包み込んだ。蜜のせいか、それともカカシの唾液のせいか、分からないくらいにお尻まで濡れてしまっている。
カカシは、今度は割れ目に舌を差し込んだ。奥まで差し込む為、名前の片足を持ち上げて体を斜めにさせた。
カカシの鼻先が自分の体毛に当たる。前後だけでなく、奥まで差し込まれた舌が上下にも名前の中を刺激する。

「きもちい……」

素直に言葉にすると、カカシは舌を離して今度は指を入れてくる。片足を持ち上げられたまま、指がカカシ自身のように何度も抜き差しされる。1本だけだった指が、2本、3本と増えて行く。
長い指が奥まで入って来て、中の襞をグイグイと刺激する。それだけで蜜が小さな突起の下から吹き出した。
カカシはそれを見て、名前の中から指を抜いた。ズボンを少し降ろして、名前の腰を引き寄せた。

「楽にしててね」

カカシが割れ目に熱いものを宛てがって来る。
先端を上下に擦り蜜で濡らしたかと思うと、割れ目にめり込んで来た。

前回のホテルで、朝から昼まで抱かれ続けたとは言え、久しぶりのカカシに名前のお腹は悲鳴を上げる。カカシが優しく解してくれたお陰でさほど痛くはないが、圧迫感にいっぱいいっぱいになってしまう。カカシが心配そうに唇を重ねて来る。

「大丈夫?」
「……ん」

カカシは、名前が慣れるまで動かないつもりのようだ。繋がったまま、首筋に音を立てながら丁寧に口付けして来る。名前の胸を唾液で濡らした指で転がす。
耳たぶを優しく齧られて、舌が耳の溝に入ってくる。カカシの吐息が直接頭に響く。受け止め切れない程の多幸感が身体の中いっぱいに広がる。イケナイ麻薬みたいだ。

もっとカカシが欲しいと、体が勝手に蠢き始める。
割れ目の奥が、カカシを包み込もうとヒクヒクと勝手に痙攣する。動いていないのに、勝手に身体が痺れてくる。

「名前、気持ちいい」

名前の顔の横にカカシが両手をつく。名前はカカシを見上げた。

「ごめん、ちょっとだけ動くよ」

このままじゃ千切れそうなのよ……そう言うや否や、カカシが腰を少しずつ揺らし始めた。ただ入口に押し付けたまま緩く小さく動かすだけだった。その僅かな刺激でも、うずうずとした波が上がってきて意図せず声が漏れてしまう。

「今の、かーわいい」

名前の奥が、カカシ自身を咥えこんで吸い付いてくる。その気持ち良さに、カカシまで息を漏らしてしまう。
こんなに気持ち良いなんて、やっぱり俺達は身も心も相性が良いのだなと思う。自惚れなのかもしれないが。

「もう、イきそう」

名前の耳元に囁いて、カカシは激しく動き始めた。

「あ、だめ!」

カカシの腰に合わせて揺れる胸を鷲掴みにする。指先で突起を転がせば、名前の奥から更に蜜が溢れて来た。
ちゅぷちゅぷと粘り気のある水の混ざり合う音と肉のぶつかり合う音、お互いの我慢ならない吐息が部屋に響く。

「は、名前」
「カカシ……」

せり上がる快感に腰を仰け反らせると、カカシが名前の中で果てた。
ずるりと抜くと、カカシは名前の蜜で濡れきった割れ目を舌で舐めとった。剥ぎ取った下着も再び履かせると、名前を抱き上げて、ソファの上に寝転がった。

「気持ち良くて死ぬかと思った」

心地好い疲れの中で微睡みが生まれる。
カカシが優しく頭を撫でてくれる感触。とても幸せな感触。

「起こすから、ゆっくり寝なさいよ」

カカシの腕に包まれる。
安心して名前は、微睡みの中に包み込まれた。

その後、カカシまで眠ってしまいディナーに少しだけ寝坊したのは2人で反省をした。




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