▼ 017

「アミ、起きろ。」

また雷で起こされ、少し戸惑っているアミをエネルは無理やり引っ張り、船から降ろさせた。そこには巨大な黄金の鐘があった。

「この国の400年の戦いの始まりを告げた鐘…!!素晴らしい…これをもって私は『神』として『限りない大地』へ到達しよう…!」
「あなた…なにをする気?」
「大胆さがなくなってる、記憶がないのか?」

アミは『実の暴走』というものがある。キスをしてエネルに悪運を与え続けた結果、エネルギー不足になり、実の力に負けて支配されてしまうことがある。これまでも何度か体験しているが、その時の記憶がないため自身は知らない。ルフィは知っているようだった。

「スカイピアにさよならを告げておけ。」
「あんたに、好き勝手させるわけないでしょう!?」

実の暴走によって、体調が優れない中、アミはそばにあった石を何度もエネルに投げた。そんなアミを無視してエネルは笑みを浮かべる。

「この国を『雷迎』で積帝雲ごと破壊し私は『限りない大地』へと旅立つのみ。ヤハハハ…こうなるとまた名残り惜しくもあるものだな。」
「この島を破壊なんてさせない。」
「お前になにができる?」
「運に任せるだけよ!!」

エネルはアミの言葉に笑うが、アミは本気だった。自分の運と、この島の運を信じるしかないのだ。

ゴゴゴゴゴゴ!!

地響きがしてアミは雲の上から下を見る。大きなツルが傾いているからだ。そして、ナミとルフィがエネルに向かって飛んでくる。

「やれやれ、せっかちな者どもだな点なぜ『雷迎』の完成を待てない。仕方ない、ここへ近づけぬ様に…アッパーヤードを少々砕いておくか…」
「やめて!」

アミが手を伸ばすよりも先に、エネルはアッパーヤードに雷を降らせた。ツルを根元から沈めようとしている。しかし、アッパーヤードはビクともしなかった。それほどまでに偉大なんだ。

「来たぞォ!エネル!黄金の鐘を渡せェェェ!!!」

ルフィが来たからか、アミは笑った。意識が飛びそうなほど体のあちこちが痛いけれど、ルフィを最後まで見守り続けようと目を大きく開ける。

大きな黒雲の中へと突っ込んでいくルフィ。誰もが無理だと思った。この電気の塊がアッパーヤードへと落ちるのだと、誰もが嘆き悲しんだ。だが、ルフィは諦めずに、黒雲の中で技を出し続けた。

「晴れろ〜〜〜〜!!!!」

黒雲は、雷雲の塊は、消えた。

「アミ!飛び降りろ!!」

ルフィがパンチを繰り出そうと身構える。アミは雲の端から、そのまま飛び降りた。どうにかなる、そう信じて。

「お前ごと鳴らしてやる!!」

ルフィの声が遠ざかる中、アミは助かるかもわからないが、地面へと落ちて行った。

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