▼ 011
アラバスタから出港して数週間がたった。みんなビビがいなくなった事実をちゃんと受け止め、傷も癒えてきていた。だが、アミの傷は癒えていない。 「………ッ……。」 薄暗い女部屋で、アミは独り思い悩んでいた。 ウンウンの実にはもう一つデメリットがある。ごくたまに、正確かつリアルな予知夢をみるのだ。アラバスタ出港前夜、アミはビビが王女の道を選ぶ夢をみた。未来をしっているからこそ、なにも言えないし言えば変わるかもしれないが、それが間違った方向へ行ってしまうかもしれない。 昔から、なにかが起こる前に予知夢をみる。しかも全てが悪夢だった。歴史を変えろといっているのか、そう思ってアミは予知夢の通りにならないように努力するが、結局はその通りになってしまう。 ――――母と父の死 ――――サボの船出 「もう………嫌だ………」 大切な人が…死ぬのをわかっていて止められなかった、大切な人が…天竜人に撃たれるのをわかっていて止められなかった。アミの瞳からは大量の涙が流れ始めた。 なにかが起こるのをわかっていて止められない、それはアミにしかわからない苦痛。予知夢をみた後は、身体が震え、気が付けば涙が溢れている。 アミが苦しんでいるのは、まだ誰も知らない。 恋人のルフィにも、アミは言っていないのだ。 ルフィなら、なんて言うだろう。そんなことをアミは考えていた。
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