ふと目が覚めた。隙間から入ってくる冷気に凍えながら状況を把握しようと回らない頭を無理矢理起こす。ん?隙間?モゾモゾと動く布団。

「ルッ!?」
「馬鹿、大っきい声出すな」

ルフィに手で口を塞がれて、ナミとロビンが起きることはなかった。けどこいつは何をしてるんだ。

「冬島も近いし、寒ィだろ?」
「だからって……なに考えてるの」
「なまえと一緒に寝たいなァと思って」

ルフィは私の隣に顔を出すと、手を握ってきた。まるで恋人みたいな繋ぎ方に、不覚にも顔が熱くなった。
目の前でニコニコとしている男をどうしたものか。帰れと言えば駄々をこねて騒いでナミとロビンを起こしてしまうかもしれない。でも一緒に寝るなんて……。

「なに難しい顔してんだ?」
「………あっち向いて。」
「あっち?」
「背中合わせで眠るの。そうじゃないと追い出すよ。」
「………えー…なまえの顔みたい。」
「絶対ダメ。」

ちぇっと言いながらもルフィは私に背中を見せた。私も反対側を向き、お互いの背中が触れ合う。シングルベッドで2人、触れたくなくても仕方ない。

「おやすみ。」
「もう寝るのか?」
「何時だと思ってるの?」
「なまえー…」
「なに?」
「眠くねェ。」
「私は眠い。」

そう言うと、ルフィはギュッと手を強く握ってきた。まだ繋いだままだったのを思い出し、また顔が熱くなってきた。

「なァ、顔みたい。」
「嫌。」
「なんでだよ」
「………嫌なものは嫌。」

考えてみても、どうして嫌なのかわからなくなってきた。でも、恋人でもないのに向かい合って寝るなんて……そんなことしていいのか。

「なまえー。」

また強く握ってくるルフィの手は熱い。

「………もう。わかった、でも何かしたら許さないから。」
「わかった!」

モゾモゾと布団が動き、ルフィが私のほうを向いたのがわかる。どうしても私は振り返ることができない。だって近いし、恥ずかしいし。

「はやくこっち向いてくれ」

ルフィの息が項にかかり、くすぐったい。この状況だけでも全身が燃えているみたいに熱いのに、向かい合えばどうなっちゃうの。

「ルフィ、笑わないでよ。」
「なにを?」

モゾモゾと布団が擦れる音を立てて、ルフィの方を向く。嬉しそうに笑うルフィと目が合い、ドクンと大きく心臓が波打った気がした。

「暗くてもわかるな、なまえ真っ赤だ。」
「笑わないでって言ったでしょ。」
「ししっ、かわいいなァ。」

ルフィの手が私の背中に回される。抱きしめられたと気づいたのはルフィの胸板が目の前に来てから。
ルフィ、すごく熱い。そして私も熱い。

「なんだこれ、バカップルみたい。」
「バカップル?」
「バカなカップルってこと。」
「カップルなのか?おれ達。」
「違う。全然違う。」
「カップルってなんだよ」
「ルフィは知らなくていい。」
「明日サンジに聞く。」
「カップルの意味を知ってしまえば、ルフィは呪われるよ。」
「なまえ呪われてるのか?」
「うん。」
「どんな呪いだ?」

変態にすごくドキドキしてしまってる呪いかな。

なんて言えずに、ルフィの頬を軽く捻り目を閉じた。痛い!って声が聞こえるが無視する。今夜はすごくいい夢が見れそうだ。

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