海楼石のネックレスをくれたのはお父さんだったと思い出す。確か変な男に絡まれないようにとくれたもので、今では大活躍してくれてる。が、能力者ではない一般人にはただの石ころだ。

「どうせヤりなれてるんだろ?おれ等と付き合えよ。」
「そういうこと興味ないので。」

島に入ればこうやってすぐに絡まれてしまう。私が何をしたっていうんだ。お願いだから構わないで。

「それに、海賊ですので。危ないですよ?」
「面白い冗談だな。」

信用してないな。一般人の女の子よりは強いと思うんだけど。ポケットから折りたたみ式のナイフを取り出し、相手に向ける。

「へぇ。おれ達に刃向かおうって言うのか。」
「後悔しても遅いぞー?」
「ホンットに可愛いな、こいつ。」

三人の男達はニヤニヤと笑って私を見ている。ナイフを突きつけられて驚かないってことは、何か策があるってことなのか。

「ナイフを置きな。」

私の頭に向けられる銃口。銃を持っていたからこんなにも平然を装えたのね。大人しくナイフを地面に置き、男達を睨む。あー、最悪。私が好きって言うならはやく来てよルフィ。

「さっきまでの勢いはどうした?」
「ビビってほしいんだけどな。こんな状況で真顔ってのもそそるけど。」

何を言ってるんだろう。男って本当に馬鹿な生き物だと思う。それにルフィは何してるんだろう。いつも触らせろと迫ってくるくせに、こんな日に限っていない。

「じゃあ誰からヤる?」

ひと気のない森の中に連れられて、いよいよ怖くなってきた。誰も助けに来てくれない、このままじゃ犯されてしまう。足が震えているのをバレないように暴れてみるけど、抑えられた。

「助けてくれたら触らせてあげる!」

大きな声で叫んだ。どこかにいるかもしれない、ルフィのために。

「はぁ?誰に言ってんだ?」
「言われなくても触ってや……いっ!!?」

目の前の一人の男が吹っ飛んだ。ルフィの奴、私のこのセリフを待ってたのね。変態すぎる行為に呆れるを通り越して、尊敬する。それから残りの二人も倒したルフィは私に駆け寄ってきた。

「大丈夫か!?なまえ!」
「うん、私の声を聞いて助けに来てくれたんでしょ?でも、その前に来て欲しかった。」
「声?何のことだ?」
「え、聞いてなかったの?」

変態とか言ってごめんなさい、と心の中で謝って私が怪我をしていないか心配してくれているルフィに抱きついた。ああ、やっぱりルフィは変態なんかじゃなかった。

「ありがとう。」

微笑めば、ルフィは頬を少し赤く染めた。

「………助けたから触らせてくれるんだよな?」
「なっ!?嘘ついたの!?」

助けてくれたら触らせてあげるという言葉はしっかりとルフィに聞こえていたようだ。騙された屈辱と、そんなにも私の体が目当てなのかという怒りで私の中の何かが切れた。

思いっきり暴れて離れようとしても、ルフィはがっちりと私を抱きしめたままだ。

「なまえのっ、なまえの胸が当たってる!」
「万年発情期野郎。」
「失敬だな。仕方ねェだろ。」
「何が仕方ないよ!変態、離して。」

思いっきり股間を蹴れば、腕が緩んでなんとか脱出することができた。助けてくれて嬉しかったのに、ルフィは私の体が目当て。

「もう、近寄らないで。」

私が思っていたより冷たい声が出た。痛そうな傷ついたような顔のルフィを置いて、私はサニー号へと戻る。

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