ここ最近の事から、私はきっとルフィが好きなんだろうと思う。変態になってしまってからと言うもの毛嫌いしていたけど、変態とか普通だとか関係ない事がわかった。どっちでもルフィ自身が好きなのだ。頭の中はルフィの事ばかりで、離れない。 というか、ルフィ自身が私から離れない。朝起きた時はもう隣にいるし、ご飯も隣の席だし、トイレにだって付いてくる。 「て、トイレまで来なくていいから!」 「前で待っとく」 「はぁ。」 ため息をつくしかないけど、いざルフィが私から離れれば悲しむのだろう。 先日あった事だが、ゾロに触れられれば気持ち悪かったのにルフィに触れられればなぜか安心した。ゾロが悪い訳じゃない、全てはトイレの前で待っているあいつなのだ。 好きと認めてしまえば、女は簡単である。彼を意識し、頬を赤く染め笑いかけられると嬉しくなる。まさにその現象が私にも起きていて、トイレから出た後に待ち受けていたルフィの笑顔にやられそうになった。 「早かったな」 「……そうかな。」 今まで何をどうやって喋っていたのかわからなくなり、ぎこちないのも無理はない。そんな私を変に感じたのか、ルフィが前に立ち顔を覗き込んできた。 「具合でも悪ィのか?」 「ううん、別に」 「元気ねェな」 「いつも通りだよ」 「んー?」 腕を組んで悩んだ後、ルフィは手で私の額に触れてきた。もし額同士だったらこの場で倒れていただろう。 「んー…熱ィような……」 「い、いいから!」 触れられた額が熱くなっていく。本当に熱があるんじゃないかと疑うほど体が火照っている。それは全てこいつのせい。 「やっぱ熱い!チョッパーのとこ行くぞ。」 「ちょっ…」 手を握られ、半強制的にチョッパーがいるはずの医務室に連れられる。 だから触れられたら熱いんだって、とは言えない私は振り解こうともせず黙って後ろをついて行くしかなかった。 「チョッパー!!なまえが!」 「あれ?いない」 麦わらの一味の癒し系ペットチョッパーがいない医務室は何だか寂しい。薬の匂いがツーンと鼻を刺激し、その匂いはどうも好きになれそうにない。この中にずっと籠っているチョッパーこそが病気になりそうだ。 「とりあえず寝てろ」 無理矢理真っ白なベッドに私を寝かせたルフィは少し離れたところにあった椅子に座った。チョッパーを待つらしい。 「大丈夫だって」 「いいから寝てろって。襲うぞ」 「い、意味わからないし!」 好きな人に真剣な顔で襲うぞなんて言われれば、はいどうぞと頷いてしまいそうで怖い。 ルフィは椅子に座ったまま私をじーっと見つめてくる。眠ればいいのか、それとも何か話しかけた方がいいのか。いつもなら勝手にベラベラ話し出すのに今日は様子がおかしい。 「ねぇ、ルフィ。どうしたの?」 「………やばい」 「え?何が?やばい?」 「これ以上近づくとやばい」 「は?」 ルフィの言ってることがさっぱりわからない。帽子を深く被りなおしてしまったから表情で見ることも出来ないし。いったい何がやばいのか。 「襲いたい」 「おっ、おそっ!?」 襲いたいなんて本人に言う人は絶対にこの世でルフィだけだと思う。他に言い方があっただろうとか何言ってんのとかそんないつも通りの台詞は出てこない。ただただ恥ずかしくて、布団を頭までスッポリと被った。 「なんだその反応!いつもなら怒るのに。」 「ば、馬鹿じゃないの!」 「おれの顔見て言えよ」 「別にいいでしょ!」 「照れてんのか?」 「そんなわけない!」 我ながらわかりやすい慌てっぷりだ。照れている事くらい鈍感なルフィにもわかるだろう。どんな顔して出ればいいか悩んでいると、急にガバッと布団を剥ぎ取られた。 「なっ、」 何か言おうとしたらしいけど、私の顔をみてルフィは止まった。 「なんだよ、そんな顔すんなよ。勘違いするじゃねェか!」 「ど、どんな顔してるのかわからない」 「おれが好きって顔。」 カァーッと熱くなる顔。もうルフィが好きって言ってるようなものじゃないか。顔が赤くなっているであろう私の顔を見て、ルフィも頬を赤く染めた。 「ホントか?」 「な、何が……」 「信じていいのか?」 「何を?」 もう好きと言ってしまおうか、そう思っているとルフィは剥ぎ取った布団を側に置いてベッドに上がってきた。私の上に馬乗りになり、顔を近づけてくる。まさか…と思った時にはもう唇同士が重なっていた。 欲情しているのか、ハァハァと息遣いが荒い。好きじゃなかったら気持ち悪いが、恋とは盲目だ。こんな姿でも好きだと思ってしまっている。私の頭を優しく撫でた右手とは違い、左手はシャツのボタンを外していた。 「やっと……やっとなまえと…」 「チョッパーが来たらどうするの」 「チョッパーにはどっかに行ってもらう、だから安心しろ」 安心できないよ、と言おうとしたけどまたキスをされて言葉を発することが出来ない。 キスしながら外されていく服たち。ああ、本当にルフィとするんだなぁと実感しながらなんだかゾクゾクした気分だった。好きな人に初めてを捧げるのは嬉しいことである。 が、まだお互いに好きだと言っていない。それに付き合ってもないのにこんな破廉恥な行為をしていいものかと裸になってから気付く。 「考え事してねェで、おれの事考えてろよ。」 それからは考える余裕すらないほど、理性を失い身体を重ね合った。ルフィの名前を何度も呼び、名前を呼ばれ、喘ぎ汗を流した。 奇跡的にチョッパーが帰ってくることもなく(喘ぎ声が聞こえて入らなかっただけかも知れない)ルフィの体力が尽きるまで付き合わされたのだった。 戻る ×
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