次の日、団長とリヴァイさんは憲兵団に身元を預けられているエレンの元へ向かった。私はといえば、事情聴取を受けている。エレンとはどういう人物だったのか、巨人になれる事を言っていたのか。

「知っていたんじゃないのか?」
「知りません。」
「黙ってたんだろう?」
「黙ってなんていません。エレンは純粋な子です。」

調査兵団の兵士なんて信じられるか、という小声が聞こえても無視した。団長やリヴァイさんがいないことを良い事に、好き勝手言ってる。憲兵団なんて嫌いだ。

「リヴァイ兵士長と親密な関係であるというのは事実か?」
「エレンに関係のない質問はやめて下さい。」
「あまり調子に乗るなよ?ちょっと痩せたからってブスには変わりねぇ!」
「やめとけよ!ブスなんだから泣いたらもっとブスになるだろ!?」

昔と同じ、心に深く突き刺さる言葉の暴力。太くて何が悪かったんだろう。巨人を倒せばいいだけなのに、倒していたのに、私が太いからってお前達に何の迷惑をかけたんだろう。巨人を見たことも、削いだこともないお前らが何でかい口叩いてんだ。昔の私はこう言って今度は殴られた。だから同じ過ちは繰り返さない。

「すみませんでした。」

唇を強く噛み、頭を下げる。屈辱だ。巨人よりも人間の方が残酷じゃないか。

「時間だ。次の奴と交代しろ。」

部屋から出て、次のアルミンとミカサを呼ぶ。

「デブさん、泣いてるの」
「ううん、ミカサ。負けちゃダメだよ。あんな奴らに。」

ミカサは強いから、私みたいに泣いたりしないだろうけど。ミカサは強く頷いてアルミンと憲兵団が待つ部屋へと入って行く。
誰もいなくなった部屋で、やっと私は涙を流すことができた。我慢してた分、止まらない涙。過去を思い出す度に震える体を押さえつける。何だかすごくリヴァイさんに抱きつきたい気分だ。





本部へと帰れば、ちょうどペトラに会った。彼女に抱きつけば、安心感に包まれた。いい香りがするのは気のせいなんかじゃない。

「デブ?」
「憲兵団の人達、性格悪いよ。」
「何かされた?」
「ううん、大丈夫。」

ペトラは優しく背中を撫でてくれて、それがすごく心地いい。ずっとこうしていたかったけど、私のお腹の音が響いた。

「私も今からご飯なの。行きましょう?」
「うん、ありがとうペトラ。」
「なに言ってるの、いつでも抱きしめてあげるからね!」
「ペトラ〜!」

また抱き着くと、ちょうどここを通りかかったオルオに引かれたが、どうでもいい。いい友達をもってよかったと心の底から思った。


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