旧本部で生活し始めて5日が経った。掃除と訓練に明け暮れる日々だったがデブはそれでも楽しそうに過ごしていた。 午前は訓練をし、午後から雨が降った為、特にする事もなく食堂で時間を潰していた。デブはというとリヴァイの前に座り、新しく買ってきた紅茶を楽しんでいた。 「オルオ、確かいただいたクッキーがあったよね?」 「あ?また太るぞ。」 「うるさい、食べたくないの?」 「チッ、取ってきてやる。」 リヴァイの真似をするのはいつもの事だとデブは呆れつつも、真似をされている張本人を見つめる。リヴァイも呆れた様に紅茶を飲み干した。デブは小さく笑い、リヴァイのカップに紅茶を注いだ。 「オレもクッキーいただいていいですか?」 「うん。あ、紅茶のおかわりは?」 「はい、いただきます。」 そんな会話をしている時、トントンと扉をノックする音がした。ハンジやエルヴィンならばノックしてから勝手に開けるが、扉は開かない。エレンは不思議に思いながらも扉を開けに行った。 「助けて下さい!!!」 扉を開けた瞬間に入ってきた女の子は倒れ込んだ。よく見れば服は所々破れ、泥がこびり付いている。 「エレン、扉を閉めろ!」 もしかすれば追われているのかもしれない、そう思ったエルドは大声で言った。慌てて扉を閉めたエレンは女の子を支え、とりあえず椅子に座らせる。 「なんだ?誰かにやられたのか?」 「………」 無言で震えている女の子はオルオの質問に答えない。 「リヴァイさん、先にこの泥を落としましょう。」 潔癖のリヴァイはもちろんその事を考えていたから、デブの言葉に頷いた。ペトラとデブに女を風呂に入れろと命じる。 二人は女を支えながらゆっくりと風呂場の方へ向かって行った。 「綺麗な金色の髪が泥まみれ。はやく流しちゃおう」 「あの………1人で出来るので…ここまでありがとうございます」 裸を見られたくないのかもしれない、二人は着替えだけ女に託すと風呂場の前の廊下で待つことにした。これが女の作戦だと知らずに……。
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