兵長と内地に用事で行って帰ってきた時のこと。目の前に広がる真っ赤な景色に私は言葉を失った。必死に動く旧本部のリヴァイ班の人たち。私の後にやってきた兵長はチラリとこっちを見たあと、真っ赤な方へと走って行った。

「モモ!危ねえから下がってろよ!」

エレンが叫んでるけど私は動けなかった。私の宝が燃えているのに目を逸らす事なんて出来ない。熱い、火花が散る。私の桃が燃えていく。

「モモ!!」

エレンに抱きしめられ、視界が真っ暗になった。目の前にエレンの胸がある。不思議と涙は出なかったけど、ぽっかりと胸に穴が空いた様な感覚がする。

「エレン……私………」
「無理すんなよ。泣けばいいだろ?」

エレンの言葉で涙が一滴落ちた。スイッチが入ったのか、ポタポタと垂れてきて止まらなくなる。それでもエレンは優しく頭を撫でてくれた。ああ、やっぱり私はエレン無しじゃ生きていけないのかもしれない。小さい頃からずっと隣にいるから。

「エレンが………エレンが好きだよー……」

そう泣ながら叫んだ。近くに誰がいてもいい。三度目の正直を信じよう。私はエレンが好きだ、これからもずっと。

「もう離さねぇから。」

ぐっと力を込められるけど苦しくない。心地よかった。桃が無くなる恐怖はもう無い。これで桃から卒業できるのかもしれない。

「おいモモ、水を持ってこい。エレンはここに残れ。」

兵長の声がして、パッと離れた私たちは急いで自分のやるべきことをした。兵長に告白を取り消してもらわなきゃ。それで、ちゃんとエレンを心から愛そう。

「水!持ってきました!」
「ああ。」

眉を寄せていた兵長は、なんというか怒っているというより辛いという顔だった。私が桃の事を大切にしていたから心を痛めてくれてるのかな、とありもしないことを考える。

「エレンが………」
「すみません、聞き取れませんでした。もう一度お願いします。」
「いや、何も言ってねぇ。」

何か言ったような気がするけど、これ以上聞くのも失礼だと、私は火を消す作業にうつった。

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