あの告白は華麗にスルーされてしまったけど、私の猛アピールは止まらない。兵長とご飯を食べたり、兵長と訓練をしたり、兵長の絵を描いたり。

「もう本部に帰れ。」
「なぜですか?そんなに私が邪魔ですか?」
「違う、壁外調査が数週間後にあるだろう。馬鹿が。」
「私、リヴァイ班に入りたいです!」
「弱い奴は必要ない。」
「強くなります。」
「強くなってから言え。」

兵長の部屋に侵入したら、お説教が始まってしまった。地面に正座をして、ソファに座る兵長を見つめる。すごい怒ってるけど、あんまり怖くないから不思議だ。

「兵長、桃食べませんか?」
「そんな気分じゃねぇんだよ。」
「そんなに怒らないで下さいよ。とっても美味しいですよ!」

そう笑いかけると兵長は渋々頷いてくれた。兵長にナイフを借りて、桃を剥いていく。

「明日、ハンジ分隊長と桃の木を植える日なんです。」
「これ以上増やすのか。」
「毎月一本ですよ。それでも立派に育つのはごく僅かです。もし、私とハンジ分隊長のどちらかが死んでも植えようねって約束したんですよ。」

兵長にはどうでもいいかもしれない、それでもハンジ分隊長との大切な約束だから。じゃあ何で言ったかって聞かれると答えられないけど、なんとなくなんだよ。

「どうぞ、お召し上がり下さいな!」
「ああ。」

兵長の隣に座らせてもらい、桃を一口。このなんともいえない甘さが大好きなんだよなぁ。桃だけは目移りすることなく、生まれた時からずっと好き。

「桃みたいな人が現れないかなぁ。」
「どういう意味だ。」
「桃みたいにずっと愛せる人ってことです。」

兵長は何も言わずにまた桃を口に運んだ。兵長だったらいいのにな、そう思いながらもどこか否定していた。きっとまた私は目移りしてしまう。そんな予感がしてならなかった。

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