麦わらの一味は9人という珍しくも少ない海賊。何万人もの敵を前にすれば、腰が抜けてもおかしくないはずなのに、そんな様子すらない。むしろ、戦いを楽しんでいるようだった。




ルフィがホーディと戦っているのをみていると、急に辺りが暗くなる。不思議に思って空を仰ぐとそこには“ノア”があった。真っ直ぐと魚人島に向かって落ちてきている。しらほしを狙うデッケンの仕業だとわかり、しらほしはノアに向かい始めた。

「しらほし!!」

慌てて私の何十倍も大きなしらほしの指を掴む。しらほしは振り返って眉を下げた。

「お姉様!お離し下さい!わたくしを狙ってノアが落ちてきているのです。」
「私も行く。」
「お姉様……?」
「王の娘に生まれたからには、この島を守る義務がある。」

しらほしは渋々頷くと、私を手の中におさめて空へと泳ぎ始めた。私もこの島の役に立ちたい。命がけでこの島を守った母のように。

「こちらです!!」
「おォオ!おれの愛した女ァ!!」

デッケンがノアの中から嬉しそうに呟いた。こいつのせいで、魚人島が粉々になろうとしている。

「あなた様のマトはわたくしの命ではございませんか!!」

泣き虫だったしらほしの力強いその声は、彼女の成長を意味していた。もう、見守らなくてもいいんだね、しらほし。

「わたくし一人の命を奪う為だけに!リュウグウ王国の皆様まで巻き添えになさるのはおや、おやめ下さいませ!!」

しらほしの指をぎゅうっと抱きしめると、小さく頷いた。

「わたくしならこちらに!!!」

よく言った、と頭を撫でて褒めてあげたい。それくらいいつものしらほしからは想像できないほど強い言葉だった。

「おォ、何と美しいんだしらほし!心までも!その身一つにこの災害を引き受けて国を守ろうというのか、しらほし!」

ギラッと光るデッケンの瞳は怪しかった。

「その美しきままに死に、わが胸に永遠に生きるがいいしらほし!」

飛んできたナイフからしらほしを守るにはこうするしかなかった、私がそれを受け止める。私の尾ひれに刺さるそのナイフは銀色に光っていた。赤い血と、水色の鱗が下へと落ちる。

「うっ、ああっ………」
「お姉様っ!!!」
「はぁっ、いいからしらほし逃げるのよ。ノアを遠ざけるの。」

私をまた手の中に収めたしらほしはシャボンの外に出て、海へと入る。尾ひれが傷ついているけど、普通には泳げそうで安心した。最高速度は出ないかもしれないけど。

「お前は確かしらほしの姉だな。邪魔する者は許さん。バホホ!どこへ行くしらほし!逃げ場などないぞ!」

追いかけてくるノアをどう対処するか、それを考えるのはひとまず置いておいて、魚人島からそらせることだけを考えなければ。

母のおもいと、魚人たちのおもいを背負って今は逃げないといけない。




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