海の森に行きたいというしらほしの願いを叶えるため、閉ざされた部屋から脱出することを決めた私たちはしらほしをメガロの体内に隠し、海へと飛び出した。私がいることも極力ばれないように、ルフィが麦わら帽子を被せてくれた。 久しぶりの外に、少し興奮気味のしらほしは嬉しそうに笑っている。その笑顔がみれるだけで、満足だ。 「なんで笑ってるんだ、えみ。」 「笑ってた?」 「おう、嬉しそうだな。」 「しらほしと外に出るのが私の夢だったの。」 「夢が叶ってよかったな!」 私の夢は叶った。それはとても嬉しいことで、自然と笑みがこぼれるほど。でも、少し心の中がぽっかりと空いたみたい。私のこれからは、どうなるんだろう。毎日お墓に通うだけ、私の夢はいったいなんだろう。 「ルフィの、夢は?」 「ん?おれか?」 肉の食べ放題とか、島のお宝とか、そういうのを想像していた私はルフィの言葉に息を飲むことになる。 「海賊王に、なるんだ。」 海賊王、それはあまりにも大きな夢で、その夢を真剣に追いかけているルフィがかっこいいと思った。そして、羨ましいとも思った。夢を追いかけている人の顔は自信に満ち溢れ、キラキラしていた。 「きっと、ルフィはなれるよ。」 なんの根拠もないけれど、きっとルフィは夢を維持でも叶えてみせるんだろうな。それほど本気なんだよね。 「私の夢は、なんだろう。」 「それは自分で見つけるもんだろ。けど、おれと来いよ。夢、一緒に見つけよう。」 ドキリ、と胸が高鳴った。ルフィの顔が真剣そのものだったから。ルフィについて行ったら、きっと毎日がキラキラして楽しんだろう。夢もいつか見つかるんだろう。でも、私は。 「母の、お墓を守らなくちゃ。」 「嫌だ。」 「え?」 「おれと来いよ。」 ガシッ、と腕を掴まれ引き寄せられる。なにが起こったのかわからなくて、とりあえずルフィの腕に包まれているということだけはわかった。鍛えられた胸板に顔を埋めると熱かった。「よくわかんねェけど、お前に仲間になってほしい」なんだそれ。と言いたくなったが、ルフィの顔をみれば言えなくなる。 「考え、させて?」 「おう、わかった。」 ドキドキと高鳴る鼓動の理由はわからない、けど身体が熱いのはきっと地上にいるからだろう。はやく冷たい海に入って身体を冷やしたい。 戻る |