戦闘力の難易度は10段階変更可能。ビーム有り。会話も可能。容姿も悪くない。IQは1000だ。だからこの世でわからないことは数えるほどしかない。そのひとつは、恋だ。どうやらルフィ様が私に恋をしているようだ。
恋、なんて心を持たないロボットにわかるはずがない。心、というものもなにかわからないのだから。
「好きだ。」
そう伝えてくる目の前のルフィ様になんて答えていいのかわからない。だから私は
『理解不能』
と呟くのだ。私の言葉を聞いて、ルフィ様は悲しい表情へと変わる。悲しみというのがわからないから、どう対応すればいいのか。でも、ルフィ様は笑う。悲しい人は笑わないはずが、なぜだか笑う。
『悲しみ、とはなんですか』
「悲しみ?うーん、島につかねェと悲しいし、肉がないと悲しい。だから……うーん。」
頭を抱えて悩んでいるルフィ様。心を持つ人間にも悲しみはわからないものなのか。
「なにかを失ったときじゃないかしら。」
「ロビン!そうだ!それだぞ、レミ!」
『なにかを失った時、ですか』
なにかを失えば、人間は“悲しみ”を感じるのか。
『悲しみ、をインプットしました』
私のメモリーカードへとインプットした。じゃあルフィ様はなにを失って、悲しくなっているんだろう。好きだと言えば、なにを失うのだろう。
『好きだ』
私の中に変化はない。悲しみ、とは奥深いものだ。目の前のルフィ様の顔が赤いのと、ロビン様が小さく笑っているのは、だいたい理由がわかるのだが、やっぱり“悲しみ”はわからないまま。
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