男部屋にも、船首にも、展望台にも、甲板にも、どこにもいない。あと蜜柑畑もいなかった。途方に暮れ、その場に腰を下ろした。船が波に揺れ、心地いい。

あ、女部屋をみていない。そう思って、立ち上がった。ガチャッという音をたてて扉を開ける。そこにはルフィ様がいた。もう一人、ベルナ様も。

「レミ………」
『ルフィ様。』
「レミどうしたの?」
『なにを………していたんですか?』
「それは誰かの命令?」

いいえ、と答えてルフィ様を見つめる。二人はただ立っていた。そしてなにかを話していた。なにかあったわけでもないのに、なぜこんなに胸が痛むんだろう。ただの機械なのに。

『失礼しました。』
「あ……レミ!」
『はい。』
「な、なにか用があったんじゃねェのか?」
『もうすぐ朝食ですよ、と言いに来ました。』

あまりにも胸が痛すぎて、はやくウソップ様のところへ戻ろうと、言うのを忘れていた。ルフィ様は乾いた笑みを浮かべてすぐ行く、と答えた。私はなにも言わずにその場を去る。

「お、レミ。ルフィは見つかったか?」
『ウソップ様。胸が痛いです。自動修正をしてみましたが効果はありません。故障ですか?』
「いや、それは恋だ。」
『こ、い?』

感情、というものはロボットの私に一番わからないもの。わからせてもらえないもの。本当にこれが感情なのか、どうして胸が痛むのか、まったくわからない。ウソップ様が嬉しそうに笑うのをみて、よりわからなくなった。



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