アラバスタを去り、空島を目指して船は進んでいた。新しい仲間ロビンを加えて。



04:上手い嘘に
   隠された
   へたな嘘



「チョッパーくん……砂漠のとき、あんなに息があがったのは悪感症のせい?」

誰もいない倉庫。小さな灯りをつけて、私はチョッパーくんに尋ねた。

「そうだ。体力も低下するから。」
「私……みんなと冒険できなくなるのかな。」
「おれが、サポートするから大丈夫だ!」
「チョッパーくん………」

少しずつ、私の病気は進行している。どんどん“死”に近づいてるんだね。

「私、今を楽しむことにするね。」
「おう!おれ、ウソップに釣り誘われてるんだ!フミもするか?」
「する!!」

私たちは微笑みあって、勢いよく倉庫から飛び出した。甲板の上で退屈そうにしているウソップくんに2人で抱きつくと驚いたように笑った。

「お前らー!!」
「ウソップくんが追いかけてくるー!」
「逃げろー!!!」
「こらウソップ!!フミを追いかけるな!」
「ぎゃあああ!ルフィが追いかけてくる!!」

ルフィはウソップくんを追って、私とチョッパーくんはウソップくんに追われて、なんだかおかしくなった。でも、すごく楽しくて笑顔が溢れた。

「捕まえた!」
「きゃっ、」

捕まったのは私。捕まえたのはルフィ。いつの間にかルフィは私を追っていたみたい。ウソップくんはチョッパーくんを追いかけ続けてる。

「はぁはぁ、ルフィはやいね!」
「フミそんなに体力なかったか?」
「………いつもと変わらないよ?」

ドキッと心臓が鳴って、背筋がゾクゾクと冷たくなった。もうバレそうになったから。

「あんまり、無茶すんな。」
「………砂漠のときのこと?」

後ろから抱きしめられてるから、表情がみえないけど、頷いているのはわかった。

「あんときはビビった。フミの顔、真っ青で苦しそうで………、」
「ごめんね、ルフィ。」

もし私が死ぬって言ったらルフィはなんて言うのかな。もし、私に笑ってくれるならそれだけでいい。

「フミ、大好きだ。」

そう耳の近くで聞こえたルフィの声は、どこか悲しそうな声だった。


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