ルフィはどうやら無事みたいで、エースと私はホッと息をつく。もしルフィに何かあればきっと私は普通じゃいられないだろう。駆けつけることができないとしても、泉の中に飛び込んでしまうだろう。 その泉に見知った顔が映し出された。 「ローさんだ」 「ああ、こいつか。戦争の後ルフィを助けてくれたらしい」 「え、そうなの?」 私は入院してたから知らないが、エースは泉で見ていたらしい。ローがいなければルフィは確実に今一緒にここにいただろう。 「1回だけ会ったことあるの。次会った時お礼言わないとね」 「次って……こいつが死んだ後だろ?」 次会う時が遠ければいいなと思う…。 気を取り直して泉の映像に集中する。二年でみんな随分変わってしまった。 「ゾロさんなんて片目が……」 「こいつ強ェな……」 「ゾロさんはね大剣豪になるんだよ」 「大剣豪か、海賊王になるルフィにはそれくらいの仲間が必要だ」 エースもルフィが大好きなんだーって今の表情を見て伝わってきた。ルフィを見る目が優しく、ちょっと羨ましくなる。 「エース、ちゃんと私も好きだよね?」 「な、なん!……なんだ…どうした?」 「ルフィ大好きってのは伝わってくるの……けど私のことは?」 「す、す……すき…だ」 「うん、私も!ルフィの次に好き!」 私の言葉でドタッと倒れてしまったエース。 「どうしたの?」 「いや………別に…いいんだ。おれは。」 何かを自分に言い聞かせているみたいで、今は放っておく事にした。 映像を見てみると、場面が進みルフィがシーザーという能力者と対決している所だった。 「エ、エース!起きて」 「ん?」 「ルフィが闘ってる」 ガバッと起き上がったエースと私は泉の映像に見入っていた。一言も話さずただルフィの勝利だけを願い続けた。 どれだけ時間が経ったか、時計がない天国ではわからないけれど長い時間闘った末、ルフィが勝利した。エースと手を合わせ興奮しながら勝利を喜ぶ。 「そういえば、どうして自然系(ロギア)にルフィの攻撃が当たっていたの?」 「フミはまだ覇気のこと知らねェのか……」 「覇気?」 聞いたことがない単語を復唱しつつ、首を傾げる。覇気を使えば自然系(ロギア)に攻撃をする事が出来るのだろうか。 それからエースに三つの覇気の説明を受ける。覇王色の覇気は特別だがエースも使う事が出来たらしい。流石海賊王の息子である。 「私も修行してたら使えたかな?」 「フミは元々体が弱かったろ。海に出る事さえも心配だった。」 「でも私にも手配書はあったもん。」 「1530ベリーだったか?30ベリーて中途半端だよなァ」 「チョッパーくんは50ベリーだもん。私より低いよ」 「そいつはペットだろ?」 「違う、船医!」 私を救う為に一生懸命に薬を作ってくれたチョッパーくんを"ペット"や"怪物"なんて言う人はたとえエースでも許さない。 むくれていると、エースは膨らんだ頬を突いてくる。あからさまに機嫌を取ろうとしてくるから、無視することにした。 「機嫌なおしてくれたら、天国の名スポットに案内してやるけどなー」 「………ずるいよ、エース」 「機嫌なおったか?」 「なおったよ。」 天国の名スポットなんて私の想像以上に美しく、幻想的な場所なのだろう。そんな所を私の小さなプライドだけでみすみす逃すわけにはいかない。 「案内してね」 「よし、おれについて来い。」 泉から離れ、沢山の花が咲いた道を進み始めたエースの背中を追いかけた。 2015/01/18 戻る |