※もしも一味が夢を叶えたら。という設定です。



「ここがルフィの故郷か。」

東の海、フーシャ村。成長した一味はフーシャ村へと戻ってきた。ここにかつて仲間だったフミのお墓がある。フミのことをよく知る9人だけが島に上陸した。

「マキノとダダンたちに会わせてやるよ!」
「その前にフミでしょ!?」

ナミの言葉にルフィは頷いて歩き出す。ルフィの手の中にはくまとうさぎのぬいぐるみがあった。

「フミ、やっとだ。やっと会える。」

ルフィの真剣な眼差しに、ナミたちは海賊王になったときの船長の姿を思い出した。どこか遠いようで、近い距離にいたあの時のルフィはいつもより堂々としていた。

「サンジ。フミの好きなショートケーキとミルクティー持ってきたか?」
「こらァ!なめてんのかウソップ!フミちゃんのために愛情を込めて……」
「ラブコック。」

今も変わらないゾロとサンジの喧嘩にため息をついたのはもちろんナミだ。

「こんなに森の奥へ入っていいのかしら。怪物に襲われなきゃいいけど。」
「相変わらずこェよ!」
「ヨホホホ!大丈夫ですよ。地図に書いてますから。」
「すげェ深い森だな。」

ロビン、ウソップ、ブルック、フランキーが口々に呟く中、ルフィはチョッパーと先頭を歩いていた。

「ロビンが育てた花、いい匂いだなぁ。」
「フミにぴったりだ!」
「それはチューリップよ。花言葉は永遠の愛。」

ロビンの声が後ろから聞こえ、ルフィとチョッパーは振り返る。

「ロビンすげェ!!!」
「フミに本当にぴったりだ!!!」

2人で微笑み合ってるのをみて、ロビンも頬が緩んでいた。チューリップの花束はチョッパーの腕の中にある。

「ここ、だ。」
「うわぁ。綺麗。」
「素敵ね。」

ルフィたちの目の前には色鮮やかな花畑が広がっていて、その真ん中に小さな白いお墓があった。傍にはパンダのぬいぐるみと指輪があった。

「フミ。ただいま!」

ニカッと笑ったルフィの髪が緩やかな風で揺れた。甘い匂いが鼻を掠める。フミの匂いに似ていた。

「遅くなったな、フミ。こいつら、持ってきたぞ。」

そう言ってくまとうさぎのぬいぐるみをパンダの傍へと置いたルフィは目を瞑り、手を合わせた。

「フミちゃん、ショートケーキとミルクティーだよ。」
「ロビンの花だ!フミみたいだぞ!」
「フミ!おれ、強くなったぞ!」
「作ってくれたぬいぐるみ、毎日抱いて寝てるわ!ゾロもね!」
「ばかっ!ナミ、こらてめェ!」

サンジ、チョッパー、ウソップ、ナミ、ゾロは口々に言った後、ルフィを見習って手を合わせる。

「フミに似合う花を育てたの。気に入ってくれると嬉しいわ。」
「ヨホホホ!今度一曲聴いて下さいね!」
「アウッ!これも添えておくからな。」

フランキーはフミが着たウエディングドレスのセットをお墓にそえ、ロビンとブルックに見習って手を合わせた。

それぞれなにかを想い、心の中でフミに語りかけた。

ーーーーおかえりなさい

そんな声が頭に響いて、ハッとした9人は目を開けてお墓をみる。

「今声が………」
「フミの声が聞こえた……」
「フミの魂は、ここにいたのかもしれないわね。」
「私たちが来るのを待ってたってこと?」
「きっと、そうだ。」

ルフィは少しの涙を浮かべ、ニコリと笑う。

「フミ。愛してる。ありがとう。」

ずっと伝えたかった言葉を、今。ルフィの瞳から一筋の涙が落ちた。

ーーーーまたね

そんな言葉が聞こえたあと、強風が吹き付けた。目を細めながらルフィがみたのは、キラキラと光が天に昇っていくところ。きっとあれはフミだった、とルフィは言う。

「またな。」

ルフィのその声は、風と共に流れていった。



いつかまた会う日まで





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匿名さまでしたが、リクエストをいただきました!海賊王になったルフィがお墓参りをするお話。リクエストありがとうございました。

20130828


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