おれがシャンクスと会うことになったのはフミのおかげだった。おれがエースやサボと兄弟になったのもフミのおかげ。フミには感謝してもしきれなくて、それに本当に大好きだ。愛してるってマキノに教えてもらった言葉もいつでも言えるくらい、本当にフミのことが大切なんだ。




18:真実の言葉が時には嘘に聞こえる




カメのおっさんの言葉を聞くのがイヤで、でも聞きたくて。おれは潰れるくらいぬいぐるみを抱きしめた。フミの香りは甘い。

「フミは……………、」

まるでスローモーションみてェに遅く聞こえる声。はやく言ってほしいようで、言ってほしくない。耳を塞ぎてェけど、もう手を動かすこともできなかった。ただおっさんの言葉に耳を傾けることしかできねェ。

「………亡くなった。」

あまりにも衝撃的で、おれは言葉も出なかった。どこか信じられなくて、冗談を言ってるかもしれねェと。自分を安心させていた。

「一週間前だ。余命は二年前のはずだったのじゃが、あの子はお前さん等に会うために、奇跡を起こしたんじゃよ。」

誰かの泣き声が聞こえても、おれはまだ信じられなかった。フミが死ぬわけねェ。きっとどこかで生きてる、そう思って暴れ出そうとするおれを必死に止めていた。

「最期の言葉はこうだ。」



さようならなんて言わないから、また会えるから、どうか前に進んで。でも、前に進むのがイヤになったら背中をみて。



「くっ、………フミ……うぅ、…死ぬなよ!なんで……なんで勝手に!おれから……離れるんだ!」

気付けばおれは叫んでいて、大量の涙を流していた。

「おれは!!お前がいなきゃ!なにもできねェし、お前が傍にいなきゃ!おれは………淋しくて死んじまいそうだ!」

空に向かって叫ぶおれの言葉はフミに届くのかな。仲間たちのすすり泣く声しか聞こえねェのに、フミの声を聞いた気がした。

「フミっ、」
「うっ……フミ………!」
「………っ、」

泣き崩れるナミとチョッパー。静かに泣くみんな。フミは仲間全員から愛されてたんだ。するとナミがなにか気付いたようにおれをみる。

「っ!!!、ルフィっ、背中を…みるのよ!」

大量の涙を流すナミの声に首をかしげる。おれの背中にはなんもついてねェ。

「ぬいぐるみよ。」

ロビンに言われ、おれはぬいぐるみの背中をみた。そこには布に隠れてあったチャックがあって、すぐにそれを開ける。中には手紙が入ってた。



ルフィ

泣かないで。ごめんね、エースくんが死んだときに一緒にいることができなくて。でもルフィには仲間がいる。その仲間と一緒に夢を叶えて、それから私のお墓にくまさんとうさぎさんを届けにきてほしいの。パンダさんはもう持ってるよ。
ありがとう。ルフィのこと大好き。はやく、新世界へ向かって。



「フミー!!!!!!!!」

左手の薬指に通っている指輪をみつめて、フミの顔を思い出す。フミの笑顔が、大好きだった。おれはフミのために、夢のために前に進まなきゃいけねェ。ここで止まれないのはわかってる。エースとフミは胸の中で生きてるから。おれは前に進む。

「野郎共!!!出港だァ!!!!!」

海賊王になって、おれはフミに会いに行く。愛しいフミに。




終わり


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