フーシャ村にいるお母さん、お父さん。

元気?

ルフィはあいかわらずだけど、仲間みんなとっても優しいよ。

お母さんに作ってもらったくまちゃんに新しい友達ができたよ。友達からもらった、うさちゃんなの。

あのね。

言わなくちゃいけないことがあるんだ。

私ね、もうすぐ



 

10:もう嘘はいらない。
   真実だけを聞かせて





「フミ!!!!」

目を開けると、みんなが私の名前を呼んだ。あれ、くまちゃんとうさちゃんはどこだろう。周りを見渡せばみんなの心配そうな顔があって、場所はサニー号の医務室みたい。

あれ?スリラーバークは?ペローナちゃんは?


「フミ!!よかった!!!!」
「一週間も意識がなかったのよ!」

ナミちゃんに抱きつかれる。一週間も……。

「フミ、チョッパー……おまえ等なんか隠してるだろ。」

ルフィの真剣な瞳は真っ直ぐと私とチョッパーくんを見つめていた。もう、言うしかないんだね。ゾクリと背筋が寒くなり、なにを言われるのか怖くなったけど、私はゆっくりと口を開いた。

「私ね……」
「フミ!!」
「チョッパーくん……いいの。私、言うよ。」

チョッパーくんは眉を下げて、悲しそうな顔をする。ホントにチョッパーくんは優しいね、でも言わなきゃいけないの。大好きな仲間だから。大好きな、恋人だから。くまちゃんとうさちゃんをベッドに置いて私は座る。

「私は………もうすぐ………」


―――――――死ぬの。

私の震えたその言葉は、静かな医務室に響いた。呑気なルフィも、無口なゾロさんも……みんな、ただ目を見開かせて驚いていた。チョッパーくんだけは下を向いていて表情がわからない。

「悪感症っていう病気で………あとちょっとでわ、たし……」

死にたくない。それは悪感症と診断されてからずっと思ってたこと、だけど今強く思う。みんなとずっと一緒にいたかった。

「本当なのか、チョッパー。」

サンジくんは静かにたばこを吸ってチョッパーに問う。小さく頷くチョッパーをみて、みんなは言葉を失った。

「もう、治せないの?」
「治せてたら、治すよおれ。なんとしてでも。でも、それができないからおれはこの船に乗ったんだ。」

ナミちゃんの言葉にチョッパーくんは悔しそうに答えた。ナミちゃんは今にも泣きそうな顔をする。

「だからこの船にって………その時からフミの病気がわかってたのか!?」
「ウソップくんのいうとおりだよ、でも、言えなかった。私はみんなと一緒に航海したかったから。」
「言ってても、航海はでき………」
「ううん、きっとみんなは優しいから優秀な医者がいる島で私を降ろすって言ってくれてたと思う。」

声の震えはいつの間にか止まっていた。今はスッキリしてる。ずっとみんなに嘘をついていて、モヤモヤしていから。

ずっと黙ったまま下を向くルフィをみる。ルフィはなんて言うだろう。

「フミは死なねェ!!!!!!」

そう叫んで、ルフィは医務室から出て、外で聞いていたフランキーとブルックを押しのけ、どこかに行ってしまった。

「…………ルフィ。」
「きっとルフィも戸惑ってるのよ。」
「おれ達も戸惑ってるんだ。」

コクッと小さく頷いてくまちゃんとうさちゃんを抱きしめた。ルフィ、あなたは海賊王になるんだよ、こんなことでくじけちゃダメなんだよ。

私は医務室の窓からみえる青い海を眺めた。


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