カー…カー… チョッパーの頭の上に、赤い帽子をかぶった鳥が降りたった。鳥が頭に乗るなんて想像もしていなかったチョッパーは慌てた。 「うわああああ!鳥だァ!!」 そのチョッパーの声に、待ってましたと言わんばかりに、○○はチョッパーの元へ駆けつけた。鳥の背には大きな荷物が背負われていた。○○はお金を渡し、荷物を受け取ると、ニヤニヤと笑って女部屋へと走って行った。 「またか……」 「ホント、好きよね」 それをみていたルフィとナミはため息をつく。こんな光景は一度や二度ではなかった。女部屋へと駆け込んだ○○は、さっそく荷物の袋を破り捨てた。 「かーわーいー!!」 袋から出てきたのは、○○の身長と同じくらいのうさぎの抱き枕だった。抱き枕が大好きな○○は、ナミからのおこずかいをすぐに抱き枕にかえてしまう。抱き枕を○○はぎゅっと抱きしめた。 「ベットの上、埋め尽くされてるぞ」 そんな○○の様子をみて、呆れたようにルフィは声をかけた。○○のベットの上は抱き枕で埋め尽くされている。 「好きなんだもん。」 ○○は、またぎゅっと抱き枕を抱きしめた。ルフィも○○が肉の抱き枕を買ったときはほしいと思ったが、こんなに抱き枕があれば寝づらいだろうと思った。 「おれとどっちが?」 抱き枕を毎日抱きしめている○○をみて、少しつまらなくなったのかルフィは意地悪な笑みを浮かべながら聞いた。けれど、聞いたあとに後悔した。もし○○が抱き枕を選んだら泣きたくなるくらい傷つくからだった。 「もちろん………ルフィだよ」 恥ずかしいのか、顔を抱き枕に埋めながら○○は小さい声で言った。そんな○○にルフィは嬉しそうに笑う。 「でも、それとこれとは別!」 「なんだよ、それ」 「ルフィは恋人だけど、抱き枕は……なんだろう…友達みたいなものだよ」 ○○は小さく笑った。その笑顔があまりにも可愛くて、ルフィは○○を後ろから、抱き枕ごと抱きしめた。○○の頬は赤く染まる。 「もう、なにー?」 「抱き枕より○○の方がいい」 「なっ!!」 ルフィの言葉に、○○はより頬を赤く染めた。ルフィは○○のうなじへとキスを落とす。 「くすぐったい……」 「あー…、好きだー…」 ルフィは○○への好きという想いがどんどん溢れ、自分を抑えきれなくなっていた。なんとか抑えようと、○○を強くぎゅっと抱きしめた。あまりにも強く抱きしめるので、○○は苦しいような声をあげた。 「んー!!」 「あ、わりィ…」 「なんとなく、抱き枕の気持ちがわかった気がする」 「じゃあ、もう抱き枕やめろ」 ルフィは○○が抱き枕を買う度に、捨てろとかやめろとか言っていた。そんなルフィに○○は疑問を抱えていた。 「どうして…?」 「おれが○○を抱きしめる時間が減る」 ルフィの言葉に、嬉しく思った○○は少しだけ枕を買うのを減らそうと思った。小さく頷く○○をみて、ルフィは優しく微笑んだ。 「ってことで…、○○は今からおれの抱き枕だ」 「え……、!?」 ルフィは○○に抱き着いたまま、フカフカのベットへと倒れ込んだ。 「おやすみー」 「ちょ、え…、ルフィ!!」 眠りにつくルフィに、○○は焦って声をかけた。好きな人が隣にいれば、緊張して眠れない。そんな○○とは反対にルフィは小さな寝息をたてて夢の世界へと沈んでいっていた。ルフィの寝顔をみて、○○は小さく笑い、静かに目を閉じた。 「おやすみ、ルフィ」 数分後、○○の小さな寝息も女部屋へと響いた。 シーツの海で穏やかに眠る (ふわふわして幸せで) (手を繋いで歩く) (ふたりで笑う夢をみた) ―――――――――――――――― 最近抱き枕を購入。 それで思いついた(妄想した)作品です。 本当はルフィを抱き枕代わりにするはずだったけど、ちょっと無理があったのでボツ。 抱き枕、すっごくいいです。 執筆 2013/03/01 戻る ×
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