「まーた、走り回ってる」
「ルフィは○○が大好きだな」

甲板で走り回る○○とルフィは、毎日やっても飽きないらしい。
紅茶を飲みながら呟いたナミに、チョッパーが答えた。

「○○―!!」

船内にはルフィの叫び声が聞こえていた。
○○も嬉しそうに逃げている。

「捕まえた!」

ルフィに抱きかかえられた○○は、苦しそうな声をあげた。

「わん!!」
「お、わりィわりィ」

つぶらな瞳で海をみつめる○○は、ルフィが拾ってきた子犬だった。
みんなで何日もかけて考えた名前は、○○になった。

「わんわん!」

○○はルフィが大好きで、ルフィが見えるとすぐに抱きついていた。

「よし、○○!行くぞ!」

ルフィは被っていた麦わら帽子を手に取ると、思いっきり投げた。
それ目がけて○○は走る。

「頑張れ!○○!」

○○は見事にジャンプしてキャッチする。
ルフィは自分のところに走って戻ってくる○○をみて、可愛いと思った。
○○はルフィの胸に思いっきり飛び込んだ。

「○○―、好きだぞー!」
「わん!」

○○は嬉しそうに鳴いた後、ルフィの頬を舐めた。

「く、くすぐってェよ!!」
「わん!わん!」

なんだかルフィは○○が愛おしくなって、そのまま唇にキスをした。
すると○○は苦しそうに鳴き始め、体も震えている・

「…、○○?」
「…う゛−…」

ルフィの目の前で信じられない光景が起こった。
ルフィの胸の中にいるのは、見知らぬ美少女。

「…?、○○…?」
「わん!」

人間の姿だというのに、○○は犬と同じ声で鳴いた。
茶色の跳ねた髪の毛は、犬のころと変わらない。

「な、なんだ!?誰だその美少女!!」
「あなた…、何者!?」

ルフィの声に疑問に思ったクルーが、全員○○のまわりに集まった。

「○○だ、」
「○○!?」

クルー達は驚きの声をあげた。

「わん?」

○○は不思議に思って首を傾げた。
「チョッパー、○○の声聞けねェか?」
「うん、やってみるよ」

チョッパーは○○へと近づくと、優しく頭を撫でた。

「…、○○?」
(うん、私○○だよ)
「今、自分がどんな姿なのかわかる?」
(うん。ルフィがねもし○○が人間だったら…って毎日言ってるから…、神様が叶えてくれたんだよ)

○○から聞いたことをみんなに伝えたチョッパーは、笑った。

「こんなこと、あるんだな!」
「…、○○!」

ルフィは大きく手を広げて、○○を呼んだ。
○○は思いっきりルフィに抱きついた。

「言葉とか教えてやるからな!これからもずっとおれの仲間だ!」
「な……あ…、」
「○○!!声!!」

みんなは驚きの声をあげた。
少しずつ、喋ろうとしている。

「…、ル……フ…」
「頑張れ!○○!」
「ルフ……、ルフィ…!!」
「すげェな○○!!!」
「ルフィ……、す……き!!」
「おれも好きだぞ」

○○は嬉しそうに笑った。
言葉も戦い方もなにも知らない○○だったが、本能的に好きなものくらいはわかるようだった。
○○は思いっきりルフィの腕に噛み付いた。

「いてっ!!」
「○○なりの、愛情表現だな」

ルフィは○○の頭を撫でると、そっと頬にキスをした。









(「わぅ」と可愛く自己主張)
(「うーっ」と健気に牽制)
(「くぅん」と涙の上目遣い)
(「わん!」と元気いっぱいお返事)
(「きゅうん」としょげかえる)
(どれも全部愛おしいんだ)







戻る
×