凍えるような寒さで目が覚めた。
厚い上着を羽織って、いい匂いがするキッチンへと向かう。


「あ、○○ちゃん、おはよう」
「おはよう、サンジくん。」


キッチンで朝ごはんを作るサンジくん。
ナミやロビンはコーヒー飲んでいた。
静かなダイニングに違和感を感じる。


「あれ…?ルフィ達は…?」
「外出てみなさいよ。」
「?、」


甲板に出る扉を開けると、そこは一面の銀世界。
私の鼻の頭に冷たい雪が落ちた。


「お、○○―!!」


手袋にマフラーをつけて、元気に笑って私に手を振るルフィ。
あまりの寒さに、私は顔をしかめた。


「○○も遊ぼうぜ!」
「誘わないでよウソップ。」
「なっ…、」
「私、コーヒー飲むから。」


どうしてこんなに寒いのに、みんな元気なんだろうか。
サンジくんにコーヒーをお願いして、ナミの隣に座った。


「よく遊んでられるわよね…、」
「みんなで雪だるま作ってた。子供かって。」
「子供よ、子供。」


と言いつつ、コーヒーにミルクと砂糖を大量に入れる私は、やっぱり子供なんだろうか。
ルフィ達の騒ぎ声が大きくなった。


「うるさいわね…、」
「サンジくん、もうご飯できるよね?」
「うん、もうできるよ、○○ちゃん。」
「私、みんなを呼んでくるね」
「ごめんね、よろしく。」


空になったコーヒーのカップをサンジくんに渡すと、私は甲板へと出る扉を開けた。
階段を降り、雪が積もった芝生に足をつける。


「ぎゃあああ!!!」
「うわー!!!」


激しい…、雪合戦。
まるで戦争のようだった。
雪玉に当たったウソップの顔は大きく膨れ上がっている。


「もうすぐご飯だよー」
「○○!!危ねェ!!!」


ルフィの叫び声が聞こえた瞬間、私の視界は真っ白になり、そのまま後ろに倒れた。


「○○!!!」
「○○!!大丈夫か!!」
「医者―!!!あ、おれだ!!」
「はやくしろ、チョッパー!!」


みんなの慌てる声が聞こえたかと思うと、私の意識は途絶えた。
















「○○…?」
「ルフィ…」
「○○!!大丈夫か!?」


目の前には心配そうな顔をするルフィ。
あ、ルフィの全力で投げた雪玉が、私の顔面に飛んできたんだった。


「ホントにごめんな」


ルフィは私の頬をゆっくりと撫でる。


「全然大丈夫だよ。」
「顔、ちょっと腫れてるから…、」
「これぐらいすぐ直る」


鏡で確認すると、少しだけ赤く腫れていたけど、それほど目立ってはいなかった。


「駄目だ。」
「え…?」


ルフィのおでこと私のおでこが、コツンと合わさった。


「ルフィ…大丈夫だよ…?」
「おれが駄目なんだ…、○○がちょっと怪我しただけでも、胸がいてェ…、」
「ふふっ、なに言ってんの?」


私が笑っても、ルフィはずっと真剣な表情をする。


「○○…、よかった」
「ん、ありがと、ルフィ」
「おれ、大好きだ」
「……雪が?」


私が首を傾げると、ルフィはやっと笑った。


「鈍感。」
「ル、ルフィに言われたくない!」
「ホント、鈍感だ」
「も、もう!な、なに!?」


小さく溜息をつくと、ルフィは私の顔を上へと向かせた。
ルフィとバチッと目が合う。


「お前が、好きなんだよ」
「……、え…、私!?」
「そうだ、○○だ。」


ルフィはニッと笑って、私の唇にキスをした。
ああ、これがあの無邪気なルフィの本当の姿なんだ。


「私も、大好きだよ、ルフィ!」
「雪が?」
「もう、からかわないで!!」
「わりィ!」


私達は見つめあい、笑いあった。







あったかい笑顔
(キミのそんな笑顔がみれるなら)
(こんな凍えるみたいに寒くて)
(雪が降る日もいいかもしれない)







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