「おお。ルフィ様。どうしてあなた様はルフィ様でいらっしゃいますの?私を想うなら、あなたのお父様を捨てて、お名前を名乗らないでくださいな、もしそうなさらないなら、私への愛を誓ってほしいですわ。そうすれば、私はこの家の人ではなくなりましょう。」

そう言ってルフィを見ると、きょとんとした顔で私を見てきた。これは私の言葉ではなく、ジュリエットの受け売りなのだ。

「今度はなんの本にハマったんだよ。」
「もういい!」

昔から本が大好きな私、特にお姫様が出るお話が大好きで、王子様をこれまた大好きなルフィに見立てた。今度の本は『ロミオとジュリエット』。身分が違うあまり、両親に2人の恋を反対されるお話。王子役をルフィにやってほしいのだが、そんなことできるはずもなく、私は小さくため息をついた。

「いいから、なにかセリフ言って?」
「おれは○○が好きだ。」
「ちがーう!!」
「けど顔真っ赤だぞ。」
「う、うるさい!!」

どんな王子様も、こんなに恥ずかしいことをストレートに言うルフィには敵わない。ルフィはニッと笑って私を見た。ルフィには、私だけの王子様であってほしい。なんて変なこと考えてしまう私はどうかしてる。

「ルフィ様、あなた様が王になられるとき、私はお隣にいてもいいのでしょうか?
永遠にあなた様のお傍にいてもいいのでしょうか?」
「それもセリフか?」
「私はあなた様にお似合いになるかわかりませぬ。ですが、私は心からルフィ様を愛しております。どうか、私だけを見て、私だけを愛してください。」

そういうと、ルフィは顔を真っ赤にさせた。

「おれ、それが本のセリフでもすげェ嬉しい。」

私は本を閉じて、とびっきりの笑顔をルフィに向けた。

「こんなセリフ、本にはないよ。これは、私の想い」
「○○、」

ルフィにぎゅっと強く抱きしめられた。バクバクと速い鼓動が聞こえる、それが私のなのか、ルフィのなのかはわからない。

「おれ、○○が大好きだ!海賊王になっても、そのあとも、ずっと一緒にいてくれ。」

どんなにいい物語でも、こんなに大好きで、こんなに愛しい人は他にはいない。

「もちろん!」

大きな大きなお城のお姫様になって、白馬の王子様を待つ。なんて夢見てたけど、小さな船でクルーになって、船長が海賊王になるのを待つほうが、全然いい。












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