少女漫画の「ハニーレモンソーダ」が最近はすごく好きなのですが、影響されてルフィで見てみたいと思って書きました。性癖詰め込んだだけです…。OKな方のみどうぞ!
そして漫画知らない方は、ヤンキーの男の子と地味な女の子のキュンキュンラブコメだと思ってください!オススメなので知らない方は読んでみてくださいね。





ーーーーーーーー


彼は、眩しい。

髪の色は真っ黒で、周りを囲んでいる友達は明るい髪色が多いのに何故染めないのだろうと考えた事がある。本人に聞けばいいのに、私は生憎友達では無い。
喧嘩っ早く、トラブルの中心には必ず彼がいるし、それでも人気者で常に友達に囲まれ、常に眩しいくらいの笑顔だった。
彼に集まる人達同様に、私も自然と彼に惹かれて目で追うようなった。一方的な、想いでしかない。けれど、彼に会う為にこの高校を選んだほどだ。
中学の頃いじめられていた私は街で彼に出会い、この高校に進学すると聞いて偏差値は下だったが構わずここに決めたほどだ。たまたまこの高校のパンフレットを持っていた私に彼は「おれもそこ受けるぞ、これからよろしくな」と眩しいくらいの笑顔で言ってくれた。それで進学校を決めるなんて、ストーカーみたいで気持ち悪いだろうか。
それから、彼とは一度だけ会話をした。同じクラスで、たまたま隣の席になったことがあった。

「もう泣いてねェか?」

頬杖をつきながら、隣の席の彼ーーールフィくんは私に笑いかけた。街で一度会っただけで覚えてくれていたのだ。それで涙が止まらなくなり、ルフィくんはクラスのみんなに泣かせるなと怒られていたが、私は申し訳なさで溢れた。

「また泣いてんのか、笑った方が可愛いぞ○○」

名前まで、知ってくれているなんて。私はその時言葉が出ず涙が溢れ、保健室へと逃げたのを覚えている。そこからは私が目で追うばかりで会話はない。話しかける勇気も無ければ、ルフィくんとどうこうなりたい訳でもない。ただ、目で追ってしまう。あまりにも正反対だからか。

それから、高校一年の冬になった。進級前のテストを終え、冬休みを待つのみとなる。私には友達がいないので、冬休みは特にすることはない。
そんな日の昼休み。遠く離れた席に座るルフィくんは相変わらず沢山の人に囲まれていた。

「クラスみんなで最後どっか行こう!」

「いいこと言うわねルフィ」

「みんなー!冬休みカラオケ行こうぜ!」

ルフィくんの提案にナミさんとウソップくんが賛同する。いつもクラスを盛り上げている人達だ。彼らの言葉にみんなルフィくんの元へと集まった。
けれど、私は動けない。いじめられていた過去を含め、そんな勇気があればルフィくんともっと話せているはずだし友達もできている。怖くなって、教室から出ようかと音を立てずに立ち上がった。

「○○も来るよな?」

しんっとクラスが静まる。皆の視線が私に向けられ、ルフィくんだけが笑顔でいた。
足が震え始め、冷や汗もかいてくる。私はルフィくんの顔を見ることができず、逃げるように足を早めた。

「ご、ごめんなさいっ」

謝ることしかできず、教室から飛び出した。私には、話す勇気が出ない。あー、また泣きそうだ。
トイレへと逃げ込み、落ち着くまで個室で座っていることにした。冷静に考えて、ルフィくんの優しさを無下にしたことには変わらない。後悔が押し寄せ、小さくため息をついた。

「さっきの最低じゃない?」

「だよね。せっかくルフィが誘ったのに、断るとか何様?」

私のことだろう。個室の外での会話が聞こえる。鏡を見ながらメイクをしている音も聞こえた。クラスの女子2人の声だ。

「別に来てほしくないし、結果オーライ?」

「ははっ確かに」

グサグサと突き刺さる言葉に私は下を向くしかなかった。やっぱり慣れないし、いつまで経っても傷つく。もっとクラスに溶け込めていたら何も言われないのに。自分に1番腹が立った。

「アンタ達。外まで聞こえてるからやめなさいよねー」

注意する声が一つ。これは恐らくナミさんのものだろう。いつも話している声を聞いている為、わかってしまう。

「えーナミは何も思わないの?」

「思わないわよ。○○だって参加したくないかもしれないじゃない。ルフィが無理やり誘っただけよ」

「でもあの態度は無いよねー」

「何が気に食わない訳?○○に何かされた?」

「…何もされてないけど……ごめんてナミ!そんなに怒らないで!」

「ルフィには黙っておいてあげるから…1000ベリーね」

「いや、目が本気だから!怖いわ!」

3人は笑い合い、ナミさん以外の2人はトイレから出ていったみたいだ。ナミさんはルフィくんと同様にみんなから好かれているし、しっかりと「自分」を持っていて羨ましい。ルフィくんといつも一緒にいる人たちはそういう人ばかりだった。

「○○ーそこにいるんでしょ?」

「えっ、?」

思わず、声が漏れた。私がいることを知っているなんて思いもしなかったし、ナミさんが私のことを呼んでくれたのは初めてだ。

「あ、ほんとにいた。ルフィがトイレに逃げたんじゃ無いかって、あいつの感も当たるのね」

「ご、ごめんなさい」

「何を謝ってるの?いいから出てきてくれない?」

ドキドキと心臓がうるさい。ナミさんと会話をする日が来るとは思わなかったから、緊張していた。
ゆっくりと扉を開いて、ナミさんの前に立つ。彼女は笑いかけてくれていた。

「クラスのみんなに注目されて嫌だったのよね。ルフィには注意したし、あとで謝りたいって。」

「ちゅ、注意!?いや、私が…ごめんなさい」

「今思ってること、ルフィにぶつけてみたら?そんな簡単に怒らないわよ。ただ、泣き虫は嫌いらしいわ」

ナミさんが悪戯っぽく笑う。可愛いなぁ。きっとナミさんとルフィくんは付き合っていると思う。お似合いだし、美男美女だ。
ナミさんは私の背中を軽く押した。されるがまま、私はトイレから出る。すると、そこにはルフィくんが立っていた。

「悪かった!」

「違うのっ、その……私が…人見知りで…」

「○○、顔真っ赤だな!恥ずかしかったのか?」

恥ずかしいし、何よりも目の前のルフィくんが眩しすぎる。チカチカと目を刺激してくるのは何故だろう。髪の毛は黒いのに、彼の笑顔があまりにも眩しい。
私はゆっくりと頷いて下を向いた。もうルフィくんの顔が見れない。すると、突然頬を両方から挟まれた。

「えっ、」

「上向けよ!今からおれ達と飯食おう」

「あ、あのっ、えっ!?」

がっちりと両頬をルフィくんが掴んでいる。目を合わすことしかできず、顔に熱が集まっていった。目をキョロキョロとさせ逃げようとしても力が強い。

「ししっ、なんで目泳いでんだ?○○面白いなっ」

「ごめんなさいっ、無理です」

「なんでだよ、おれ達と飯食いたくねェの?」

「……食べていいのでしょうか…?」

「ははっ○○かしこまり過ぎよ」

「そうだぞ、おれ達同じクラスじゃん」

また、ニカッと笑うものだから、目がチカチカと眩しい。この笑顔が私に向けられるなんて思ってもいなかった。心臓がドクドク煩くて、ルフィくんに聞こえないか心配だ。
緊張で手は震えるが、私はルフィくんとナミさんに続いて教室に戻る。シンッと静まり返り、みんなの目線が集まって居心地が悪い。冷たい目をする人も何人かいた。先程トイレにいた2人は冷たくはないが、良い顔もしていない。

「おれは今日から○○と友達だ。」

「え!?そ、そうなんですか?」

「違ェのか?…じゃあ友達になりたい!」

「わ、たしで良いんですか?」

「当たり前だ。○○と仲良くなりてェんだってまた泣きそうになってる」

「だって…嬉しくて」

「だから敬語もなし!あとこいつらとも友達だ!」

ルフィくんが目線を向けたのはいつもルフィくんと一緒にいるナミさんを含む仲間達だ。本当に人生で1番嬉しい日かもしれない。

「さっ飯にしよう!おれ腹減ったーー!」

「○○ちゃんよろしくね!おれはサンジ。○○ちゃんが嫌じゃなかったら弁当おれが作ってくるよ」

「そんなのっ、申し訳ないです!!」

「サンジは将来レストランを経営するから料理を勉強中なんだよ。おれらの分も作ってくれてるぞ。あ、おれはウソップ!よろしくな!」

「サンジくんのお弁当美味しいのよー!」

「ありがとうございます!ナミさーん!!」

「うるせェぞ、エロまゆげ。」

「んだとコラ。○○ちゃん、こいつはゾロだ。ただのクソマリモ」

「はっ倒すぞてめェ!!」

知ってる、全員知ってるよ。私はいつも憧れて彼らを見ていたし、学校で人気者だからみんな名前を知ってるくらいだ。まさか、私の名前を呼んでもらえる日がくるなんて…。泣きそうになるのをグッと堪えて、深々と頭を下げた。

「宜しくお願いします!!!」

「頭深過ぎよ!」

「そうだぞ○○ちゃん!顔を上げて」

「ハハッ○○面白ェな!んで、やっぱり泣いてし」

ルフィくんが下から覗き込んできて泣いているのがバレた。それでナミさん達がまた笑うから、私の涙腺は崩壊した。
それから、彼らがいつも屋上でお弁当を食べていることを知った。サンジくんが作ったお弁当は絶品で、ルフィくんがガツガツと食べるのも理解できる。私はその日、家でも泣いてしまった。でもこれは嬉し涙だ。



ーーーーーーーーーーーーーー


私はこうして、彼らと仲良くなり始めた。けれど、それを良く思わない人がいることは私が1番知っている。中学の時も、いじめられていたから人の顔色の変化には気付きやすい。

ーーー「ルフィ達に気に入られてる」「対して可愛くも無いのに」「あんな地味な子が」「意味がわからない」「ただの同情でしょ」

日に日に増えていく噂、無くなっていくペンやノート。中学の時と何ら変わらない。私が変わっていないから当然だろう。私は、ルフィくんと一緒にいる資格はない。
上履きがなくなった靴箱の前で崩れ落ちる。私は変わらないよ、ずっと、弱いままだ。

「なんか言えよ。おれらに言えよ、助けてって。」

振り返ると、ルフィくんが立っていた。今の彼は眩しくはなく、怒っているのが分かる。分からない、私はどうすれば。

「……誰に?」

どうして、ルフィくんが傷ついた顔をするのだろう。私が変わらないし弱いばっかりに、自分が招いた結果なのに。
ーーー私は、彼を追ってここに来たはずなのに。憧れて、彼のように強くなりたくて輝きたくて。惹かれて、好きになって、変わりたくて。
私は走り出した。進学校を勧める先生や両親から猛反対されても、私はルフィくんに勇気を貰ったからここに来られた。また、背中を押されてしまった。

「返して!!!」

知っている、私物がどこに隠されて誰がやっていたのか。でも動けずにいたのだ。
私のクラスに入り、大声を出したせいで注目を浴びる。ナミさんやサンジくん達もいる中、私は固まって話していた女子2人に近寄った。

「私の上履き返して!ペンも!ノートも!全部!!」

足も手も震えて、釣られて声も若干震えていた。女子2人は顔を見合わせて、驚いた顔をする。

「は、はぁ!?なに!?」

「私らじゃないし」

「○○!!」

そこで、ルフィくんの声がした。なんで、今来るんだろう。頑張って我慢していたのに、涙が溢れ出して止まらない。

「ほら、言えよ!おれに!」

「…た、たすけて」

「ああ!任せろ!…お前ら、次やったらおれが許さねェぞ」

ルフィくんが強く睨みつけると、あまりの迫力に2人は数歩下がって何度も頷いてみせた。
私はその場に座り込み、声を出しながら泣いた。こんなに行動できたことは今まで一度も無かったからだ。

「またそうやって泣く…」

「ごめんなさいっ」

「だから謝っ……」

「ありがとうっルフィ」

私は精一杯の笑顔をルフィくんに向けた。いつも彼が勇気をくれたみたいに、心の底からの感謝を伝えたかったからだ。
すると、ルフィくんは意外な反応を見せた。珍しく、顔が赤い。改めてお礼を言われて照れているのかもしれない。

「あー…あれは落ちてるなアイツ」

「完全に、落ちたわね」

「妙に気に入ってるとは思ったけど、そういうことか」

「な、な、なんだよ!!!お前らうるせェぞ!」

ルフィくんは顔を真っ赤にさせながらウソップくんを追いかけ回していた。どうしたのかは分からないが、私は変わろうと心に誓った。ルフィくんのために、そして私のために。






ーーーーーーー

ここで断念。きっと恋が始まっていくのでしょう…








戻る
×