足をぶらんぶらんと揺らして、ルフィは机に項垂れていた。その横でナミが朝届いた新聞を読んでいる。後ろのソファでロビンとチョッパーが何か話していて、ウソップは近くで武器の修理、ブルックはダイニングルームの中央でバイオリンを奏でていた。
私はというと、ルフィの向かいの席に座り、サンジに淹れてもらった紅茶を飲みつつロビンに貸してもらった本に目を通していた。

「ルフィ、揺れるから大人しくしなさい!」

ナミが新聞から目をルフィに向ける。

「じゃあ遊んでくれ」

「はぁ。雨はまだ降るから無理よ。」

「ナミ〜いつまで降るんだ?」

「明日の朝まで」

「長ェよ〜〜」

ルフィは上げていた顔をまた机に突っ伏した。
ここ数日雨が続いており、ルフィのストレスも最高潮である。
雨のせいで自然と皆、ダイニングキッチンに集まることが増えた。ここダイニングキッチンではいつも良い香りが立ち込めている。ここ数日で、1日のうちサンジがほとんどキッチンにいることが分かった。

「ルフィ、ゾロと修行するのはどう?」

私の提案に、ルフィはまた顔をあげる。何も答えず、じーっと私の顔だけを見つめられた。その黒い熱い瞳から逃れるように本へと目線を逸らす。

「○○の本はいつ読み終わる?」

残り100ページくらいあるだろうか。薄くはなってきているが、すぐに読み終われるものでもない。

「まだかかるかな」

「じゃあ待ってる」

それからルフィは一言も私に話しかけなかった。ウソップとチョッパーが絡んできたときは話していたが、大人しくいていた。そのおかげで、本に集中することができる。
気が付けば、私の瞳から涙が溢れた。悲しい結末だと最初から予想できたはずなのに、やっぱり悲しい。主人公が死ぬとわかっていたのに。
私の溢れた涙は、誰かの手によって拭われた。驚いて顔上げると、私の椅子の横にルフィが蹲み込んでいる。ルフィの手は優しく私の頬を撫でた。

「○○はすーぐ本の世界に入り込む」

「わかってたけど、悲しい話だったよ」

「気付いてるか?途中で笑ったり、むすっとしたり、こうやって泣いたり、可愛いんだよなァ」

「うそ……気付かなかった」

そこまで私は本の世界に感情移入していたのか。
そういえば、以前ルフィが私の本を取り上げて何度も釣りに誘ってきたことがあった。そのときは大喧嘩して、私が大号泣してしまった。でもあれ以来、ルフィは本の時間を邪魔することは決して無い。
気を使ってくれていたんだ。ルフィなりに、精一杯。

「ルフィ、ありがとう」

「ん?何もしてねェよ?」

「お詫びに。今度はルフィのやりたいことに付き合う」

「ふーん。じゃ、○○こっち来い!」

ルフィは私の持っていた本を机に置いて、その手を引いた。ナミやロビンの視線は気になったが、見て見ぬ振りをしてルフィに着いていく。
そのままダイニングキッチンを出て、バルコニーに出て歩き、アクアリウムバーに入った。

「っし、誰もいねェな!」

「な、何するの?」

入ってきた扉から離れず、そのまま後ろから抱きしめられてしまった。一気にルフィの香りに包まれ、思わず嗅いでしまう。ルフィの熱い手に、手を重ねてしまう。

「触りたくなった」

「き、昨日もしたよ?」

「だから今日は、チューと○○に触るだけ」

昨日も肌を重ねたはずなのに、心臓が高鳴って仕方がない。体も熱くなり、恥ずかしさから目を閉じて逃げる。

「本読んでる時の顔が、コロコロ変わって可愛くて抱きしめたかった」

「そんなに出てたかなぁ」

「かなり出てた。我慢してた」

ルフィは私の肩に顔を落とし、すーっと息を吸う音が聞こえた。抱きしめる力が強くなり、少し苦しいがそれすらも愛おしい。
ルフィは私の肩を持って、体の向きを変えた。ルフィと向かい合わせになったが顔を上げることができず、目が合わない。

「○○、こっち向け」

その言葉に、ゆっくりと顔を上げるしかなかった。パチリと熱い視線が合わさる。キスして欲しくなって、目を閉じるとすぐに唇が重なった。ルフィの手が私の背中に回り、支えられながら熱いキスに応える。

「あ〜〜〜ダメだ。○○、好き。好きだ」

「私も好きだよ、ルフィ。」

強く、唇を押し付けられ、何度も何度も向きを変えてキスが降ってくる。ルフィから私が好きだと叫びにも似た想いが降ってきている気がした。

「ルフィっ、ルフィ…んっ、」

「それ…やめろ」

無意識に、何度もルフィの名前を呼んでしまう。その度にルフィのキスは激しくなった。熱い舌が、絡まって離れない。
が、突然キスが中断してルフィは私を強く抱きしめた。ぎゅーーっと苦しいくらい抱きしめられる。

「ルフィ、苦しいっ」

「わりィ。好きすぎて、どうしていいか分かんなくなった」

「ねぇ、ルフィ。今日もしたいって言ったら…」

「する。したい。○○がいいならしたい。」

私の言葉を遮るようにルフィは言葉を発した。熱い視線が向けられて、またすぐに唇が奪われる。私もびっくりするくらいルフィが好きで、一度触れられるともっとって思っちゃう。

「ルフィ、好き」

「無理、○○可愛すぎ。」

髪をくしゃくしゃと撫でられて、そのまま抱き上げられる。アクアリウムバーのソファまで移動して、ゆっくりと降ろされた。ルフィが私に覆いかぶさる。こんなところで、と不安を口にしようとしたがその口が塞がれてしまったので、私はそのままルフィに溺れていった。








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このまま裏かけよーーー!と自分でも思っちゃった。
これも途中まで書いてたので、書き足しましたが昔みたいに文章力戻ってきてるかな。

2020/05/19






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