今日一緒に帰ろう、そう初めて言われたのは私達が付き合って1ヶ月の頃だった。今まで付き合っているのかもわからないくらい何もなかったのに、急にどうしたんだろう。悩むよりも誘われた事が嬉しくて、どうでも良くなっていたが。

「待ったか?」
「ううん、ミーティングお疲れ様。練習もしたの?随分汗が……」
「○○待たせてたからダッシュで来た。」

こんな真夏にダッシュなんかしたら汗もかくだろう。私の為に走ってくれた事が嬉しくて頬が緩む。

「よし、帰るぞ。」
「あっ……」

手を握られて思わず声が漏れる。急にカップルみたいな事して火神くんに何があったんだろう。

「繋ぐのは嫌か?」
「ううん、むしろ嬉しいんだけど…」
「?」
「急にどうしたのかな、って。」
「悪かった。」
「え?」

頭を深々と下げた火神くんに慌てた私は顔を上げるように言った。

「付き合ってるのに何もできなくて。黒子に言われて初めて気付いた。」
「私から告白したんだし、無理矢理みたいなものだったし、あと……無理しなくてもいいよ。」

3度目の告白で渋々頷いてくれた火神くんに我儘なんて言えない。

「無理なんてしてねぇよ。」
「好きなのは私だし……」
「何言ってんだ……」
「え?だって…」
「ちゃんと…その……好きだから付き合ってるに決まってるじゃねぇか。」

顔を赤くした火神くんの言葉に私は目をぱちくりさせた。ちゃんと私の事好きで付き合ってくれていたなんて、知らなかった。

「付き合うなんて経験ねぇし、どう接していいかわからなかった。触っていいのかもわからねぇし。」
「全然その、さわっ触ってくれてもよかったのに!」
「これからは触る。」

お互いきっと顔は真っ赤なんだろう。目線をそらしながらする会話は初々しい。火神くんは私の手に触れ、ぎゅっと握った。

「大切にする。」
「もうやめて、恥ずか死する!」
「なんだよ、恥ずか死って」
「笑わないでよ。」
「おもしれぇ、○○。」
「ねぇ、大我くんって呼んでもいい?」
「それこそ恥ずか死だ」
「大我くん。」
「ばかっ、こっち見んな!」
「顔真っ赤だよ」
「うるせ」
「わっ、走らないで!」
「はやく来いよ」



空白の時を埋める様に

今まで疎遠だった分、たくさんいちゃつけばいいのよ。火神初めて書きましたが、難しい。

2014/08/09






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