部屋に入った後に後悔した。まさか目の前でエレンと○○が抱きついてるなんて思わなかったから。○○は目を閉じているからきっと寝ているんだろう。それにしてもエレンはニヤニヤと笑って少し気持ち悪い。

「おお、アルミン。どうした?」
「どうしたって、ここ一応僕たちの部屋だよね。」

苦笑いを浮かべて、どうやってはやくここから立ち去ろうか考える。どうせエレンはすぐに○○のどこが好きかとかノロケ話を聞かせてくるんだから。

「悪い、○○はオレのジャケットを届けに来ただけなんだけどな、いつの間にか寝てる。」
「うん、もう少し寝かせてあげて。」

ゆっくりと後ずさる。あとは扉を閉めるだけだ。そしてあと数時間は戻らないで本でも読んでいよう。

「なァ、アルミン。」
「なに?」
「○○ってなんでこんなに可愛いんだろうな。」

あー、始まってしまった。もう当分はこの部屋から出られない。覚悟を決めて、僕はエレンの前に座った。

「○○はミカサと同じくらい美人だね。」
「ミカサはどうか知らねぇけど、まさかアルミン!○○を………」
「エレンの彼女なんだから、好きになるわけないだろう?」
「それもそうか。」

僕の気持ちも知らないで、エレンに抱きつきながら気持ち良さそうに寝ている○○を少しだけ恨んでも罰は当たらないだろう。

「寝てる奴にキスしたら、変態か?」
「うーん、僕はそう思わないけど……今はやめて。」

今目の前でキスされたらどんな顔をすればいいかわからない。幸い、わかってくれたのかエレンは何もしなかった。されていたら僕はエレンを少しだけ嫌いになりそうだ。

「どうしてさっきから、そんなにニヤニヤしてるの?」
「当たり前だろ?オレの好きな女に抱きつかれてるんだぞ?」

なんで僕はそんな質問をしたんだろう。でもずっとこの2人は幸せでいればいいと思う。たとえ巨人に食われようとも、2人一緒なら幸せなんじゃないかな。まるで他人事のような考えを必死に消して、微笑ましい2人を見た。ああ、



どうか死なないで。



20140522






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