彼氏がほしい、そう願っても好きな人ができるわけとなく。人見知りがなおるわけでもない。それでも、いつか運命の人と……なんて考えている。男友達は中学のころはいた。けれど、高校に入ってからは一人もできていない。女友達とふざけ合って、笑い合う日々。 そんな私を、好きになってくれる人がいた。つい数分前の出来事で。廊下を歩いていると、急に両腕を掴まれて、告白された。「好きだ!」え。私の思考は停止。だって、知らない男の子。 「あ、あの………えっと」 「おれルフィ!お前の名前は?」 「え、あ、」 名前を知らない?じゃあなんで私のこと好きなんだろう。もしかして、からかわれてる?なにかの罰ゲーム? 「○○。」 「○○か、うん!いい名前だな!」 この人はなぜ私に告白なんてしたんだろう。なぜ、名前を知らない私なんかに。部活にも入っていないし、教室でもそんなに騒いでるわけじゃない。女の子たちと笑いあってるだけで、この人に好きになってもらえるようなところはない。 「ずっと○○のこと見てた。」 「どうして………私なんか。」 ルフィといえば、少し離れた教室だけど名前は聞いたことがある。すごく、人気者らしい。明るい性格で、無邪気でよく笑って、仲間思いで。接点なんて、今日初めてだ。 「初めて廊下で○○を見つけたとき、なんか目が離せなかったんだよなァ。見る度におれの側にいてほしいって思った!」 こんなこと言ってもらえる資格なんてないのに、でも本当に嬉しい。本気で私のこと見てくれてる。そんな人が初めてで、言い表せないくらい大きな幸せで満ち溢れた。 「わ、私でいいの………?」 「なに言ってんだよ。○○がいいから、告白したんだ。」 どうしよう。初めての感情がグルグルと私の心の中で渦を描く。心臓が跳ねて、私の胸を熱くする。これが何なのかはわからない、それでも嫌じゃないのは確かだ。胸が苦しいし、心臓がうるさいけど、嫌じゃないむしろ嬉しい。 「おれと付き合ってくれ!」 強引で、それでいて我儘な言葉だけど抱きしめられた力は強くてルフィに一瞬で恋に落ちた。 「よ、よろしくお願いします。」 「いいのか?」 「うん!」 ぎゅううっと抱きしめる力を強くして答えると、ルフィは嬉しそうに笑った。その可愛らしさがある笑顔は、ルフィの魅力のひとつ。まだ出会ったばかりだけど、これからルフィのことを知れたら嬉しい。 「やっぱり、話してみても○○がいい。○○は可愛い。」 頭が沸騰するくらい、熱くなっていく。きっと真っ赤なんだろう、私の顔は。でも、ルフィも赤い顔をして笑っているから、もうどうでもいい。 初めまして、好きです。 20140126 戻る ×
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