昔から、私はドジだと周りに言われる。すぐ転んだり、靴下を片方間違えたり、忘れ物が多かったり。数え出したらキリがない。周囲を見なさい、とよくお母さんに言われていたが、私は成長しなかった。
飛んでくるボールに当たってしまうのは、本当に良くあった。幼い頃から顔面にボールが直撃し鼻血を出して倒れるなんて当たり前。そんな私も高校生になったが、それは変わらなかった。

飛んでくるボール。私は避けることもできず、顔面に直撃してーーーー
が、来るはずの衝撃は来ない。恐る恐る目を開けると、見知らぬ男の子がいた。

「おい!危ねぇぞ!!」

「あ、ありがとうっ」

「大丈夫か!?」

この時、私を助けてくれた男の子の名前はルフィで、そこから仲良くなった。隣のクラスで、話すようになり、私は彼を好きになっていた。当たり前だ、ルフィはカッコいいんだから。
そして、好きが転じてルフィが所属する野球部のマネージャーをすることになりました。ルフィの友人のナミも一緒なので、毎日が楽しい。
ふと、昼休みに野球で遊んでいる子たちを見て、あの時のことを思い出した。

「あの時、助けてくれて本当にありがとう。」

「あの時……あ、○○が危なかった時か?あん時は○○の姿が見えたとき、かなり焦った。」

「焦った?もしかして私のこと知ってたの?」

ルフィは頷いた。私のこと、前から知ってたんだ。いつ、どこで知ったんだろう。でも、知っていてくれたことが嬉しくてそんなことどうでもよくなった。

「ルフィ、好きだよ。」
「え!?」

言ってしまった。言うつもりもなかった。私は慌てて口を塞ぎ、その場から逃げ出した。まずは友達から始めようと思ったし、私のことをもっと知ってもらってから告白しようと思ってたのに。
とりあえず、熱い顔を冷やそうとそとに出る。走ると風が私の興奮した心と顔を冷やしてくれた。

「危ない!!!」

ああ、またか。今度は冷静だった。また野球のボールが飛んできて、どうしてか、キャッチできる気がした。マネージャーになって、近くでキャッチボールを見てきたからだろう。

「おっと、大丈夫か?マネージャー。」
「はい、大丈夫です。ありがとうございます。」

キャッチする前に、野球部の先輩が目の前でキャッチしてくれた。今度はすんなりお礼も言えた。どうしてだろう、前と変わらない状況なのに、全然ときめかない。

「○○!!!!大丈夫か!?」
「ル、ルフィ?」

呼吸が乱れているルフィは走ってきたことがわかる。立ち止まって、少し呼吸を整えていた。

「守ってやれなくて、ごめん。」
「ううん、大丈夫。ありがとう。」
「ダメだ、○○はおれが守る。」
「どうして、そんなに………」
「○○が好きだから。」

それはあまりにも衝撃的で、理解するのに時間がかかった。ルフィも私が好きなんだ。

「だから、おれが○○を守りたかった。」
「その気持ちだけで、十分だよ!」

ルフィに思いっきり抱きついた。そっか、これが両想いなんだね。これが、好き同士で付き合うってことなんだね。

「好きだよ、ルフィ。」
「おれも。」

初めて好きになったあいてがルフィでよかった。そして、たぶんもう最後になるんだろうな。







恋するきっかけ
(おれも好きだったんだけどな)(先輩でも○○は渡さねェ)(ルフィ、そろそろ口の聞き方を覚えろ)(おう、じゃないな、はい!)



執筆20131215






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