「ぷっちーん。」
「ぷっちーん?」

ルフィは無表情でそう呟いた。たぶん、私が言ったことに怒ったんだろう。首を傾げる私をみて、小さなため息をつく目の前のルフィ。

「この前言っといたのによ。」
「え?なにを?」
「とるなよって。」
「そんなこと言ってたの?」

ルフィがなにに怒ってるのかというと、それはある男の子に、だ。つい先日その子に告白をされ、強制的にキスをされた。そのことを彼氏のルフィに黙ってるのも悪い気がして、今報告したのだ。

「ぶっ殺してくる。」
「殺しちゃダメ!!」
「冗談だよ、んなことしねェ。」

真顔で冗談を言ってきたルフィを、慌てて止める。冗談って言ってるけど、本当にやりかねない。

「私、話してくるよ。ルフィしか見てませんって。」
「○○を1人で行かせられるか。おれも行く。」
「で、でもっ………」

もし、喧嘩になったら……、その言葉を飲み込んで、ルフィを見つめる。ルフィが喧嘩するはずないってわかってるから。

「油断しすぎなんだよ。」
「ごめんなさい。」

素直に謝ると、ルフィは少したじろいで私の頭をわしゃわしゃと撫でた。

「もう心配させんなよ。」
「はーい。」

私の返事に満足したのか、ぎゅっと抱きついてきたルフィ。

「とりあえず、ぶっ飛ばそうそいつ。」
「だから!ダメだって!」
「ふっ、嘘だって。」
「またからかった!?」

けど許せねェんだよな、そう小声で呟くルフィがなんだか可愛くみえて、手を精一杯伸ばして頭を撫でた。

「子供扱いすんな。」
「可愛かったんだもーん。」
「それが子供扱いなんだ。」

拗ねながらいうルフィはやっぱり可愛いな、なんて思ってたら急に男の顔になった。

「○○の方が可愛いに決まってんだろ。」

そう言ってキスしてくるものだから、これ以上言葉が出てこなかった。

「もっと警戒心をもて。」
「しーらない。」

今すぐ告白してくれた彼の元に行ってやろうかと思ったけど、本当に怒られそうだからやめた。その変わり、今日はいっぱいかまってもらおう。





1ミリの隙間も空けたくなくて
(そうやって他の男の頭も撫でてるのかと思うと)
(なんかすげェむかついて、お前は悪くないのに)
(ついつい怒っちまうんだよ、大人気ないよな)




執筆20131214






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