「そんなに、好きなの?」
「おう。」
「どうして?」
「可愛いから。」
「わからない。」
「なに言ってんだ、○○は可愛いぞ。」

カァッと顔が熱くなるわけでもなく、きゅんっと胸が高鳴ったわけでもない。ルフィに告白され続けているけれど、私の心は響いていない。

「ごめんね、私は仲間よ。恋人じゃない。」
「そんなのおれには関係ねェ。好きなもんは好きだ。」

嗚呼、どうしてルフィはこんなにも純粋な目で私をみるんだろう。汚れてる私を、まるでガラスでも扱うように優しくしてくれる。そんなルフィの行動が一番私を苦しめているとは知らずに。

「○○は、自分が嫌いだから人を好きになれねェんだろ。」

急に核心をついてきたルフィに、私はなにも言えなかった。図星だから。私は自分が大嫌い。なんの取り柄もないし、顔も可愛いくないし、スタイルもよくない。頭も悪いし、戦闘もできない。ただの役立たずだ。

「でも、おれは○○が好きだ。ちゃんといいところも知ってる。」
「ど、こが。」

掠れた声は、動揺している証拠。まさか私のいいところを他人のルフィが知ってるはずがない。

「○○は人が傷つかないようにしてるし、仲間をちゃんと見てるし、みんなが見てないところで頑張ってる。努力家なんだ、○○は。」

ニカッと笑うルフィが眩しい。こんなにも、私という人間をみてくれてる人がいるなんて思わなかった。所詮、同じ船にのる、目的地が一緒というだけの絆で結ばれた人間の集まりだと思っていた。だけど違った。

「私が恋をしていいのかわからないけど。ルフィと恋がしたい。まだ、恋ってものがわからないけど、少しずつルフィを好きになっていい、かな?」

ルフィは少し目を見開いて驚いていたけど、すぐにニコリと笑って頷いてくれた。こんな人を好きになりたい。でもまだ私にその資格はないから、待っててほしい。そんな意味を込めて、私は微笑んでみせた。





淡い色に染まって
(もしルフィが違う人を好きになっても)
(私は構わないけれど、少しだけ、)
(後悔するんだろうな、と思う)
(だって、もうすでに私は)
(淡い恋心を抱いてしまってるんだもん)


20131003






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