「○○………」

名前を呼ばれて振り返るとそこには甲板で眠るルフィがいた。気持ちよさそうに眠るルフィの黒髪がさらさらと風に揺れる。

「キス……」

その言葉でボッと顔が熱くなった。夢でなに考えてるんだろう。寝てるルフィに照れてる私もどうかと思うけど。

「……抱きしめて……いいか?」

キュンっていう音がして私の心臓が跳ねた。こんなに甘い言葉を聞いて立ち去れる訳もなく、私はルフィの近くに腰を下ろす。

「抱きしめるなら起きて抱きしめてよ。」

返事が返ってくることを期待しても、小さな鼻息が聞こえただけでなにも返ってこない。

「ルフィ……好きだよ………起きてよ……」

ずっと独りで話していることが恥ずかしくなって私は立ち上がる。また起きたら、いっぱい甘えてやろう。とりあえずサンジくんに何か作ってもらおうかな。

「○○………おれも好きだ。」

そう後ろから聞こえて、振り返らずにはいられなくて、振り返るとそこには目を開けてニッコリ笑うルフィがいた。

「やっぱり、起きてた。」
「○○が甲板に来んの待ってた。」
「どうして寝たふりしてたの?」
「○○の反応がおもしろかったから。」
「ばかっ。」
「そんなに起きてほしかったか?」
「当たり前じゃない。」

ルフィに抱きついて、触れて、キスして。さっき寂しかったお返しをくれてやった。



夢心地

(いつ目を覚まそうか迷うくらい)
(お前の声が心地よくて)
(ずっとこのままでもよかったかもな)






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