「なぁ…、もういいだろ?」
「ま、待って!まだ駄目!!」

○○とルフィの声が船内中に響き渡る。騒ぎを聞き付け、中からクルー達が出てきた。さっきからこの光景を見ていた私は、無意識にため息をついていた。

「ナミ?どうしたの?」
「ちょっと聞いてよロビン!あの2人、ずっとこの調子なんだから……。」
「なにをするのかしら…」
「じゃんけんよ」
「ふふっ」

ロビンは笑った。呆れて笑ってるのか、本当におもしろくて笑ってるのか……たぶん後者だろう。

「じゃーんけーん!」
「待って待って!!!」

○○はいつまでもじゃんけんを拒み続けてる。なにやってるのよ…もう…。○○とルフィが付き合っているのはクルー全員が知っていること。イチャついてるのはよく見かけるけど、遊んでるとこをあまり見たことが無い。貴重かもね。

「ん〜…」
「○○―!早くしろよ」
「○○!早くじゃんけんしちゃいなさい!ルフィがうるさい!!」

私が○○に向かって叫ぶと、ルフィは“失敬だな!”と言って私に怒った。

「なにをそんなに悩んでるの?」

ロビンが○○に聞くと、○○は小さな声でロビンだけに言った。

「なんて言ってた?」

○○達から離れて、ロビンに聞くと、ロビンは○○達を見て微笑んだ。

「?」
「じゃんけんに負けたら、キスをして、抱き締めないといけないんですって」
「っ!?そんなこと!?」

でも…そんなことかもしれないけど…なんとなく羨ましい。そう思ってしまう自分がいた。…、私も恋をしたいな…。ふと、ある男を見つめた。目が合うと、なんだか私は恥ずかしくなって、目を逸らした。ロビンが笑った気がした。






恋に恋する航海士










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