「………嬉しいっ!」

ルフィとお揃いのコップを眺めて、○○は嬉しそうに言う。そんな○○をみて、ルフィは嬉しそうに笑った。同棲をしてるわけでもなく、毎日お泊まりという感覚で2人は暮らしていた。もともと○○が1人暮らしをしている部屋にルフィがきている状態。

「○○が好きそうだなーって。カブトムシと迷ったんだけどな。」
「カブトムシを選ばないでくれて!ありがと!」

カーペットの上で寝ころんでいたルフィに○○は嬉しさのあまり抱きついた。

「なんだ、今日は大胆だな。」
「嬉しいの。」

ちゅっ、と甘い音がした。○○からのキスは珍しく、触れるだけのものだったがルフィをその気にさせるのには十分なものだった。

「○○!!今日はやる気かっ!そうか!よし!ベットだな!」

カシャッと音がしたにも関わらず、ルフィは変に指を動かして、○○をみていた。

「これを撮って送ったら……誤解をとくことができるかも。」
「あー。誰だっけ。ヤマダ?」

ルフィは○○を後ろから抱きしめて、耳元で呟いた。少し身を捩った○○は冷静に答える。

「ううん。ヤマダさんの誤解は解けたよ。付き合ってる人がいるって言ったら解けたの。」
「…………ん?」
「今度告白されたのは、職場で一緒になったスズキさん。」
「……………んんん?」

ルフィのことは無視して、○○はスズキさんにメールを送信した。

「○○、どーゆーことだ。」
「どういうって……あ、電話。」

○○の携帯が鳴り、ルフィはより一層抱きしめる力を強めた。ヤキモチ、である。

「あ、はい。そうです。え?それは違いますけど………困りましたねー、………はい!それで諦めてくれるのなら。」

電話がきれて、ルフィは抱きしめる力をすこーしだけ弱くする。

「ルフィ、今度スズキさんとご飯に行くことになったの。それで諦めてくれるって。」
「○○………」

ルフィは○○を自分の方に向かせ、軽く額をたたいた。

「ヤマダのとき、それでキスされてただろ。」
「う、うん………ごめんね。」
「おれは怒った。○○はモテすぎなんだ。」
「ル、ルフィの方がモテるくせに……ずるいよ。」

ルフィはモテる。バレンタインやクリスマス前は告白がすごいことを知っている○○は拗ねた。だが、ルフィが告白を全部断ってるのも知ってるし、なにも悪くないこともわかってる○○は素直に謝る。するとルフィの顔がパァッと明るくなった。

「じゃ、じゃあ!もうスズキとかヤマダには会わねェんだな。」
「…………ん?」

少しの沈黙のあと、○○は激しく首を横に振って否定する。

「仕事の付き合いだし!断ることなんてできないよ!」
「なんでだよ!○○はおれのこと好きなんだろ?」
「それはそれ!これはこれ!」
「なんだよそれ!」

と、喧嘩になったことは言うまでもない。
 


そんなに言うなら勝手にどうぞ


(ばーか。ルフィのばーか。)
(それなら勝手にしろ。なんて言わねェからな)
(じゃあ着いてくる?)
(いく!!!)





ただルフィに嫉妬させたかった。
20130815






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