私の好きな色は水色。


水色の空も好きだし、水色の海も好き。だけど一番好きなのは、隣で揺れる君の髪と私を見る君の瞳。


「そんなに見つめないで下さい。集中できません。」
「ホント、綺麗な水色だよね。」


目の前のテツヤくんは私なんて気にせずに、問題集へと視線を落とした。


「テツヤくんの好きな色は?」
「なんですか、急に。」
「うーんと、気になったから?」


テツヤくんの視線は私へと向けられた。水色の瞳で見つめられると、すごく恥ずかしい。好きなんだけどね。


「ボクは、赤です。」
「え。赤なの?黒とか言うと思ってた。」
「それは僕が影だからですか?」
「そうじゃなくて、うーん、なんでだろう。」


私が悩んでいると、テツヤくんは笑った。なにがおかしいんだろう。それより、どうして赤が好きなんだろう。そう思って聞いてみた。


「教えてほしいですか?」
「うん。」
「これが終わったら教えます。」


また、テツヤくんの水色の瞳は問題集へと移った。ようするに、待てということか。私はテツヤくんの髪の毛をみたり、手をみたりしながら時間をすごす。だって暇だし、なんか楽しいし。


「終わりました。」


ぱたん、と閉じられた問題集をみたあと、またテツヤくんの視線は私。カァーッと顔に熱が集まっていく。


「ボクが赤を好きな理由ですよね。」
「う、うん。」


じっと見つめられれば、そりゃ照れるよ。だって好きなんだもん、テツヤくんが。テツヤくんの水色の髪も瞳も、その綺麗な手も全部。


「○○さんの今の顔ですよ。」
「………ん?どういう………。」
「○○さんはボクが見つめれば、顔を赤く染める。その照れた顔が好きなんです。」


きゅんっと胸が高鳴って、今度は顔だけじゃなくて、全身が熱くなった。


「そ、それが赤を好きな理由?」
「これだけじゃ、不満ですか?」


ぶんぶんと首を横に振る。そんなこと言われると思わなかった。だって、テツヤくんの口から“好き”なんて言葉久しぶりに聞いたんだもん。


「あと、○○さんのその赤い唇が好きだから、です。」
「も、もうやめて……。」


心臓が飛び出しそうになるほどうるさくて、もうテツヤくんの目を見れない。


「キスして、いいですか。」
「っ!!!」
「拒否されてもしますけど。」


ちゅっ、と甘い音をたててするキスはとても甘い。視界に広がる水色、その色がやっぱり好きだ。





ムーンライト・ブルーの艶笑
(私は水色が好きだよ。)(僕の色ですか?)(な、なんでわかったの?)(僕のことが好きって顔に書いてますから)






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はつ、黒子夢。黒子くん、ものすごく難しいですね。


20130726






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