「ゾロが、時々悲しい顔するのは、どうして?」

トレーニングしているゾロに近寄って、ずっと気になっていたことを聞いてみた。涙を流すんじゃないか、ってくらい悲しい顔をするんだよ、ゾロは。

「あ?なんだ急に。」

予想通りの反応。気になるんだよね、ゾロの全部。これを誰かは恋いって言ったり愛って言ったり、ようするに好きってこと。

「うーん、故郷に女を待たせてる?とか。」
「なに言ってんだ。」
「女の勘は、当たるんだよ?」

女っていっても、ただの女じゃない。なんてったって恋する乙女なんだ、私は。乙女って柄じゃないんだけども。

「故郷に女がいたら、おれは海賊なんてやってねェよ。」
「それもそうか。じゃあ、死んじゃった、とか?」

それで、海じゃなく空を見つめてる理由が合う気がする。一瞬、ゾロの眉毛がピクッとあがった。図星、ね。

「その子のこと、忘れられないんだね。」
「おれはなにも言ってねェだろ!!」
「わかるの、私は!」

なんで、って聞かれたら答えられないけど、わかるの。だってこんなにもゾロが好きなんだもん。

「忘れられないんじゃねェ。………迷いがあれば、おれはあいつに聞くんだ。それだけだ。」
「ゾロに迷い?道以外で?」
「道は関係ねェだろ!!」

道以外で、迷うこととかあるんだ、ゾロにも。

「どんな悩み?」
「それ聞くか?普通。」
「私普通じゃないの、ゾロはわかってるでしょ?」

ゾロは少し困った顔をする。その死んだ女の子に聞かないで、私に聞いてくれたらいいのに。私がゾロの力になるのに。

「んな顔すんな。言えばいいんだろ?」

ふぅ、と息を吐くゾロ。そんなに深刻な迷いなんだろうか。それと、私どんな顔してたんだろう。そんな顔すんなって言われちゃった。

「おれが迷ってたのは……○○に告白しようかどうかだ。ああ、かっこわりィ。」
「……え。こ、告白?なんの告白?告白って、あの告白?こ、告白!?」
「告白、告白うるせェ。そうだあの告白だ。」

う、嘘、信じられない。死んだ子が好きなんじゃないの?

「おれは、○○が、好きだ。」
「わ、わわわ、わた、私もっ!!!」
「落ち着け。」
「私も!!ゾロが好き!!」

叫びにも似た告白。まさか、ゾロと両想いだなんて信じられない。

「知ってる。」
「なっ!?」

ニヤリと笑ったゾロ。し、知ってる!?私一言も言ってないのに。

「寝言でおれに告白してきた。」

カァーッと顔に熱が集まる。人生初の告白が寝言なんて、最悪。穴があったら入りたい。

「ついでに○○のファーストキスも奪っといた。」

理解するまで数秒必要だった。





君の寝顔にキス
(な、なにやってんの!!)(いや、つい。)(ついじゃない!!!)(可愛い顔して寝てるからわりィんだよ)(………負けました)





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はつ、ゾロ夢。
ゾロってこんなに自由人だっけ。


20130726






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