グランドラインに浮かぶ、海賊船サニー号。
10人の海賊団にしては大きな船。
でも、二人っきりになれる場所なんてない。

島についた麦わらの一味。
船番として残ったのは、恋人同士の○○とルフィ。
久しぶりの二人っきりということもあって、ルフィは浮かれていた。

「なんで、本読んでんだよ」

せっかくの二人っきりだってのに。ルフィの言葉は○○のページをめくる音に遮られた。
○○とは恋人同士だが、あまり恋人っぽいことはしない。そんな関係がルフィは少し嫌だった。

「ルフィも本とか読んだら?」
「読めねェよ」
「ルフィでも読めそうな本、探してこようか?」

ルフィはブンブンと首を横にふる。

そんなことしたいんじゃない。
恋人らしくイチャイチャしてラブラブしたい。

そんなルフィの願望は叶わない。
○○のページをめくる音と、波の音だけがルフィの耳に響く。

「なァ、○○」
「んー?」
「○○」
「なにー?」

なかなかこっちを向かない○○に、ルフィは少し拗ねながら○○を呼び続ける。
○○は本に集中していた。

「○○○○○○○○○○ー!!!」
「…………、……」

耳の近くで叫ばれて、痛くなった○○は耳を両手で押さえた。

「……うるさい、………んっ」

本を閉じて、自分のほうを向いた○○に、ルフィは触れるだけのキスをした。

「やっとこっちみた」

ニッと笑うルフィに○○は何も言えず、ただ顔を真っ赤に染めたのだった。

「全然こっちみてくれねェから」
「ん、ごめんね」

何日かぶりにするキスは新鮮で、○○は動揺を隠しきれず、少し目が泳いでいた。
そんな○○が可愛くて、ルフィは小さく笑った。

「な、なんで笑ってるの……?」
「別にー」
「なに?教えてよ」
「教えねェよ」

○○がかわいすぎて困るなんて言ってやんねェ。
ルフィはまた笑った。

「もう……、言ってくれないなら……キスしないよ?」
「へー。いいのか?キスしなくて」

予想外の返事に、○○は言葉を詰まらせた。
恋人っぽいことをしないのは、恥ずかしいからでしたくないわけではない。
どっちかといえば、したい。
○○は真っ赤な顔で首を横に振った。

「そんなにしたいのか、キス」
「……っ………ルフィの意地悪…」

ルフィはまた笑うと、○○の唇にキスをする。

「いつでも言え、してやるから」
「言わないと……してくれないの?」

○○の言葉にドクンッとルフィの心臓が跳ね上がった。

やべェ、なんだこの可愛いの。

この○○の顔がツボすぎて、ルフィは顔を真っ赤にさせた。

「おれがしたいときにする」

そう言ってルフィはまた、今度は深く長く○○にキスをした。




今日は離れてやらない
(んなに可愛い顔するからわりィんだ)
(みんなが帰ってきても止められる自信)
(そんなのないからな)


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甘い甘いお話を目指しました。
やっぱり不器用な女の子が好き←

執筆 2013/05/03






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