閻魔大王の娘、次女。冷徹に見えて無邪気。将来は閻魔大王の位置を狙っているから、勉強中。鬼灯と少しずつ恋愛。
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「早く死ね。」
「実の父に向かって酷いな!!」
早く死んでくれれば、私が地獄で一番になれるというのに。そうは言っても父が死んだら泣くんだろうなと思う。将来の為に父の仕事を補佐しながら、過ごしているが私なんて働くても優秀な部下が全てやってくれる。
「名前さん、早く貴女の下につきたいものです。」
「鬼灯君まで!?」
わしに死ねって言ってる!?と、書類をしていた手を止めて鬼灯さんを見つめる父の頭に金棒が飛んでくるのはいつもの事だ。
「早くやりなよ、父さん。」
「坊は?」
「姉さんに連れて来ないでって言っておいたから。」
私の姉の息子、つまり私の甥であり父の孫の坊はとても可愛い。可愛いからかすぐに仕事場に連れて来ようとする。それでいつも鬼灯さんに怒られるのだ。
「もう私がやる。」
「名前が?」
父を無理矢理椅子から立たせて、私が座る。ああ、早くこの席を私の物にしたい。
「悪い顔してますよ。」
「鬼の貴方に言われたらお終いね。」
「そんなにその席に座りたいですか。」
「ええ、勿論。この眺めが堪らないわ。」
「ゾクゾクしますね、その顔。」
「父の前で娘にそんな事言わないでよ鬼灯くん!」
鬼灯さんは変わってると思うが、とても優秀で私が地獄の主になった時も第一補佐官としていてもらいたい。父と鬼灯さんの言い合いを受け流しながら、書類に取り組む。
「すぐに終わりそうね。」
「ええ!?この量を?」
「父さんがマイペースすぎるのよ。」
名前さんはとても優秀ですね、なんて褒められたら素直に照れてしまう。鬼灯さんの方が優秀なくせに、女性の扱いに慣れているのか。
「あ、そうだ。2人にクッキーを焼いてきたの。美味しくできているはずよ、少し焦げちゃったけど。作ったのは姉。」
「さも自分で焼いたかのように言おうとしたね、今!」
父のツッコミはさて置き、クッキーを差し出す。
「美味しいですね。」
「姉に伝えておくわ。」
本当は私が作りましたなんて言えないけど。だってクッキーなんて私のキャラではないし。姉のほんわかとした雰囲気にクッキーはお似合いだ。けれど鬼灯さんの言葉には心から嬉しく思った。