「なるほど、とても信じ難いが伸びているのを見れば真実らしいな。」

ルフィの腕を伸ばしながらそう呟いたエルヴィンさんは次に私に視線を移した。君は能力者なのか、そう聞きたいんだろう。

「さっさと答えろ。」
「リヴァイ、今日は一段と口が悪いようだが。なにかあったのか。」
「別に。おれはグズグズとしている奴が嫌いなだけだ。」

キリッと睨まれてぶるっと体が震える。モリアに捕まった時もルッチに睨まれたときもこんなに鳥肌がたつことはなかった。リヴァイさんが怖い。

「私は違います。普通の人間です。」

少し言い方を間違えた気もする。ルフィも普通の人間であってリヴァイさんもエルヴィンさんも人間。この世界では巨人が人間を追い詰めているようにも見えるけど巨人も人間の形をしているんじゃないのか。ただ、知性がなくて人間を食べる生き物。まるで共食いだ。

「はやくもとの世界に帰りてェ。」
「帰る方法はあるのか。」
「別にねェ。」
「ちっ。」

ルフィとリヴァイさんが睨み合う中、エルヴィンさんはなにかを考えている様子だった。その考えが私たちにとっていい事なのかはわからない。

「壁の外に行けばなにかわかるかもしれないな。」
「壁の外………ですか。」
「確か本に書かれていたはずだ、海はあったと。」
「じゃあ!帰れるんだな!」

きっと簡単には帰れないだろう。壁外に出て巨人を倒しているにもかかわらず海はまだ見たことがないらしい。何年、かかるのだろう。

「君たちには訓練をしてもらい、調査兵団に入ってもらう。」
「おれはそんなことしねェ。あの壁を登れば帰れるんだろ?」
「ルフィ、壁の外には私達を食べる巨人がうようよいるんだよ。二人だけじゃ無謀すぎる。」
「全部倒せばいいだろ!?」
「巨人はある部分を削ぎ落とさないと倒せない、ってリヴァイさんが言っていたでしょう?」

そう言うとルフィは黙り込んでしまった。はやく帰りたいのは私も同じだよ。だけど帰るためにはこの世界のやり方に従わないといけない。

「話はまとまったか。」
「はい。訓練をさせて下さい。」

頭を下げると快く頷いてくれた。ルフィは明らかに不機嫌な顔をしているけれどここは放っておこう。

「チッ、いつまで拗ねてやがる。」
「おれは海賊王になる。だからはやく戻りてェのに。」

その呟きは私の心を締め付けた。ごめんねルフィ、こんな方法しか思いつかなくて。私がバカだから、弱いから、ごめんなさい。そう心の中で謝っておいた、



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