「私はエルヴィン。彼はリヴァイだ。」

どこかの建物に入れられて、きっと彼……リヴァイの上司にあたるであろうエルヴィンが自己紹介をしてソファに腰を下ろした。

「おれはルフィ!」
「名前です。」

ルフィもドカッとソファに座り、出された紅茶を一気に飲み込んだ。サンジのほうが美味しいと余計なことを言いながら。確かに、少し苦い気もしたけどそんなことは言わずにゆっくりと飲んだ。

「単刀直入に聞くが、てめェらはなんだ。」
「おれ達は海賊だ。」
「かいぞ、く?」

海も海賊も知らない、そして麦わら帽子をみても驚かないということはここは海も海賊もない世界だということなのか。まさか、そんなことって。

「名前、と呼ばせてもらおう。名前はどう思う。きっと私と同じ意見だと思うのだが。リヴァイによると君たちは『海』と何度も言っていたらしいが。」

エルヴィンさんはきっと頭がきれる。推測だけど、一番上に立つようなそんな器の持ち主だと思う。隣のルフィはもう寝ようとしているけどそんなの今はどうでもいい。

「きっと、世界が違うのだと。」
「つまり君たちは異世界からきたと。」
「恐らく。」
「名前なに言ってんだ?異世界?」
「おい、こいつを黙らせろ。」
「なんだと!?」

ルフィ落ち着いて、と肩を抑えてソファに座らせる。渋々もう一度紅茶を口に運んだルフィはぐうううっとお腹の音を鳴らせた。さっき食べたばかりでしょ。

「リヴァイ、食堂へ案内してあげてくれ。」
「ちっ。なんでおれが。」
「彼女たちの話は人類の役に立つかもしれない。」

もう一度大きく舌打ちをしてリヴァイさんは足早に部屋を出て行こうとする。飯かー?と瞳を輝かせるルフィはリヴァイさんの後をついていく。私はエルヴィンさんに一礼してから部屋を出た。この先が不安だ。ロビンやナミがいてくれればなにか対策を思いつけたかもしれないのに。でも、ルフィが一緒でよかった。きっと一人なら今頃泣いていたかもしれない。

「さっさと食え。」
「これだけか?」
「ちっ。削ぐぞ。」

パンとスープだけというのも少し質素な気がしてならない。周りを見渡すとみんな同じメニューだった。もしかしてこの世界は食糧難なのでは。こんな大食いのルフィが来てはならなかったのかも。

「お前のもーらい!」
「!?」

手を伸ばして、リヴァイさんのパンを横取りしたルフィを殴っておいた。私のパンを差し出すと、リヴァイさんは目を見開いたまま動かない。

「あの、リヴァイさん?」
「ルフィよ、今のはなんだ。」
「あ?おれはゴムゴムの実を食べたゴム人間だ。」
「ゴム人間…………」

この世界には悪魔の実なんてものもないんだろう。リヴァイさんはルフィを真顔で見つめながらなにかを考えているようだった。パン取ってしまってごめんなさいと謝ることも聞いてくれなさそうだ。

「名前、食わねェのか?」
「食べるけど……ちょっとは遠慮しなさい。ルフィ。」
「おっ、スープうめェ。」
「話を聞け。」

ルフィの頭を叩いて、パンを口に含む。ふっくらとは言い切れないそのパンは意外と好きかもしれない。サンジの焼いてくれるふわっふわのパンも好きなんだけど、少しだけ固いパンも好き。

「おい、名前よ。お前たちの世界のことを話せ。」
「はい。全てお話しします。そのかわりここの世界のこともお願いします。」
「ああ。」

どこから話せばいいんだろうか。まずはやっぱり私の大好きな海のことからか。



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