「名前ー!食堂行こう」
「うん、お腹すいたー」
昼休みの時間、料理の美味しいお母さんが作ったお弁当を持って食堂に向かった。
普段あまり食堂は使わないけど、今日は友達のお母さんが寝坊してお弁当を作り忘れたらしい。そういう時に食堂を利用する。
「賑わってるね…」
「席取っとく!」
「ありがとう」
長い列に並ぶ友達を置いて、空いている席に座った。
すると、見覚えのある顔が二人。
「お兄ちゃん!」
「げっ………」
「げってなによ。こんにちは、マルコさん。」
「名前ちゃん久しぶりだね」
お兄ちゃんの唯一の友達、マルコさんは本当に優しい人でお兄ちゃんには勿体無いと思う。
「何?1人で食堂?」
「バカなの?そんなのするわけないじゃん。そっちこそ、友達マルコさんしかいないの?」
「バ、バカ!いるわ!」
図星みたい。こんなくだらない兄妹喧嘩を楽しそうに笑って見てくれるマルコさんは本当にいい人。
「本当に仲良いね?」
「「仲良くない!」」
こういう所が仲良いと言われてしまう行動だろう。それにしても友達が遅くて、私は仕方なくお兄ちゃんとマルコさんと喋ってあげることにする。
「お兄ちゃんって本当にマルコさんしか友達いないんですか?」
「いるわ!」
「お兄ちゃんは黙ってて。」
「いるよ。すぐ喧嘩する子で名前ちゃんとの喧嘩みたいで面白いんだ。」
「へぇ〜いるんだ〜」
「まさかあいつのことか!?あいつは友達でも何でもねぇ。」
「え、前に言ってた“ミカサ”の幼馴染の人?」
「名前ちゃん知ってるんだね」
「もう毎日毎日ミカサが可愛いとかうるさいんですよ〜」
「ジャンってば僕にもそんな感じだよ」
「もうほんとお前ら勘弁して」
「「照れてる?」」
「うっせ!」
そう言って私と色違いのお弁当のご飯をかきこむお兄ちゃんは完全に照れてる。マルコさんと目を合わせて笑い合った。
「そんなに可愛い人なの?」
「可愛いというか、美人なんだよ。黒髪黒目で……」
「写真ないの?」
「ねぇよ。」
「そろそろ見たい。教室まで行っていい?」
「来るな、馬鹿」
「確か幼馴染3人でいつも食堂でたべてるはずだよ。」
「幼馴染3人いるんだー」
「…………あそこ。」
お兄ちゃんが突然指をさした。なんだ、最初からいることわかってたんだ。その方向を見ると、確かに美人な女の子が私の友達も並んでいる列に並んでいた。
「綺麗な人……お兄ちゃんには無理だよ」
「うっせーな。」
「でも今幼馴染いないみたいじゃん。話しかけに行ったら………あれ?あの人どこかで見た事が……」
「ハァ?見たことねぇだろ。」
「いや、どこかで…………あ!!私のバイト先で一緒に働いてる人だよ!」
「ハァァア?何言ってんの?なんで名前知らねぇんだよ」
「この前チラッと見ただけで……自己紹介なんてしてる暇なかったの。それに教育係が喋るなとか言うし。」
「エルヴィンさんのカフェだよな。毎日通うわ。」
「来ないでよ!?何通おうとしてるの!?怖いよ!?」
「ミカサのシフト教えろ」
「いや!怖いって!ストーカーだって!」
「さすがに毎日はやめてね、ジャン。せめて2日に1回…」
「甘いよ!?それ甘いからねマルコさん!」
とうとうお兄ちゃんがストーカーになる日が来たようです。その妹ってことは私もストーカーになる素質があるのかもしれません。ごめんなさい、リヴァイさん。
「名前ー!お待たせ〜」
「もう、遅いよー」
「あ、ジャンさん。こんにちは」
「あ、どうも」
「お兄ちゃんに挨拶なんていらないから」
「お前、帰ったら説教な。」
「今日バイトですー。」
「今日ミカサいるのか?」
「知りません。知ってても言わないよ」
チッ、という舌打ちが聞こえた気がするが、無視をして友達と食事をし始める。
そういえば、幼馴染はどんな顔か見てなかった。列の方を見てももうミカサさんはいないみたいだし。また今度お兄ちゃんに見せてもらおう、