「おじさん、お兄ちゃんの事覚えてたよ」
「エルヴィンさんが？全然会ってねぇな」
「相変わらず馬面だよって言ったら笑ってた」
「お前……実の兄をよく馬だって言えるな…」
「あとあと、リヴァイさんがカッコよかった。」
「名前の初恋だろ？」
「な、なんでそれ…」
「自分で言ってたぞ、リヴァイさん好きーって」
「うわ、恥ずかしい。馬面くらい恥ずかしい」
「おい」
「あとあとあと、凄い感じの悪い人が教育係になった」
「男？」
「うん、1年働いてるんだって。」
「何か言われたのか？」
「中学生みたいって言われた。」
「まぁ、見えるな」
「おい」
「けど、そいつが教育係か……」
「リヴァイさんは忙しいから教育係になれないんだって」
「リヴァイさんほんと好きだな」
「かっこいいもん。大人だし」
「本気で好きなのか？」
「本気になりそうで怖い」
「そんな妹が怖いわ」


「お前ら、毎日よく喋るな」

私たちの会話を聞いていたらしいお父さんはやっと口を挟んできた。

「仲良い兄妹で何よりだ」
「「仲良くない」」

きっと仲は良い、こんな下衆で馬面の兄でもね。

「で、お兄ちゃん。ミカサちゃんとは進展した？」

高校二年生の兄、ジャン・キルシュタインは同じクラスになった女の子を好きになったらしい。

「なんか幼馴染がいて、そいつが周り彷徨いてる」
「どんな子？」
「感じ悪いやつ」
「男の子なの？」
「ああ、小学生からの仲らしい」
「何か言われたの？」
「馬みたいって言われた」
「まぁ、見えるね」
「おい」
「けど、幼馴染がいるんだね…」
「そいつのせいでミカサには近づけねぇし」
「ミカサさんほんと好きだね」
「可愛い、というか美人だし」
「本気なんだね」
「オレはいつも本気」
「気持ち悪い」
「おい」


似た者同士とは、この事である。とお父さんは思っていたとか。