「んー……、」
両手を上にあげ、大きく伸びをした。空を見上げれば雲ひとつない澄んだ青い空。心地いい風がゆっくりと流れている。私がいるのは学校の屋上で、さっきチャイムが鳴ったから授業中なんだろう。先日入学式を終えた私は、友達作りが下手というか人見知りで…教室にいるのがつらいというか…居心地が悪いので屋上にいる。
屋上から周りを見渡せば、グラウンドで体育の授業を受けている人が見えたり、青々と生い茂る木が見えた。すると、ガチャッと音がして、私は思わず隠れる。
「お、誰もいねェ…」
という声が聞こえたかと思うと、その人物は地面へと寝転がっていた。あ…私の場所なのに。隠れていたところから顔を覗かせると、黒い髪の男の子だった。風で髪の毛がなびいてる。誰なんだろう。規則正しい吐息……たぶん寝てるんだろう。少しずつ近づいていく。
(起きませんように……)
そう願いながら、足音をたてないように歩く。顔を覗くと、あまりにも綺麗な顔付きに驚いてしまった。俗に言うイケメンだ。
「……んー…」
そのイケメンくんの瞳がパッチリと開かれ、私と目があった。私は驚きのあまり、数歩後ろへとたじろいた。
「誰だ?」
「そ、そこ…私のお気に入りの場所なの……」
そう言うと、イケメンくんは笑った。
「一緒だな、おれもここ気に入ったんだ」
「君も…?」
そのイケメンくんの笑顔は元気というか、無邪気というか……たぶん同級生だと思う。寝ていたイケメンくんは起き上がり、座って私を見つめた。
「…じゃあ一緒に昼寝しよう」
「じゃ、じゃあって……?」
「お前もここがお気に入りなんだろ?」
私が頷くと、イケメンくんは嬉しそうに笑って私の腕を掴んで引き寄せた。私はそのままイケメンくんの隣へと倒れ込んだ。
「もう…びっくりしたぁ」
「気持ちいいぞー」
「…聞いてないし…」
イケメンくんを見つめると、バッチリと目が合った。あまりにもその距離が近くて…心臓がはやくなるのがわかった。本当にイケメンだ。
「ふぁ〜」
イケメンくんは大きな欠伸をしたあと、目を瞑った。こんなかっこいい人の隣で寝れるわけない!と思ったけど、突然睡魔が襲い掛かってきて、重たい瞼をそのまま閉じていった。
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