ーーーーーテンポがずれるお年頃
 
 


いよいよ文化祭当日になった。
教室は可愛く装飾されていて、テーブルなどもオシャレにセッティングされている。みんなで作り上げた教室は納得のいく出来栄えだ。
私は衣装に着替えて、始まる時間を待っていた。

「おはよう!ゾロ!」

ルフィくんの声が聞こえて、ビクンッと肩が揺れるのがわかった。
あれからゾロのことを意識していて、ずっと胸に引っかかっていた。返事を求められているわけじゃない。それでも、一緒に帰るときは気まずい雰囲気だった。
返事をしなきゃならない、それは分かっているはずなのに。

「ゾロのこと避けてるの?」

ナミちゃんが少し怖い顔をして私を廊下の方へ連れて行く。その後ろからロビンちゃんも着いてきた。なぜナミちゃんが怒っているのか分からない。
お姫様の格好をして可愛いのに、眉間に皺が寄っていれば台無しだ。

「………うん。」

「どうして、避けるの?」

「それは………」

言っていいものかと不安になる。口籠っていると、もっと怖い顔になるナミちゃん。

「ナミも私も、もっとアキに頼ってほしいの」

「そうよ!私たち仲間でしょ!?そんなに頼りない?」

ロビンちゃんの言葉にナミちゃんが頷きながら言った。以前の私なら信用をするのが怖くて相談できなかっただろう。
でも今は別の理由があったからだ。ロビンちゃんとナミちゃんと同じように、ゾロも信頼する仲間。簡単に告白されたの、なんて言えなかった。

「ごめんね、でもゾロのことはまだ解決してなくて。ゾロの気持ちが絡んでることで、私からは言えないの。」

「……そうよね、私も軽率だった。」

「ううん、今まで頼れることも頼ろうとしてなかった私が悪いの。私だってナミちゃんやロビンちゃんに頼ってもらえると嬉しいはずなのに。臆病だったの、私が。頼ってもいいのか嫌われないか、って。」

「嫌うわけないじゃない!大好きよ、アキのこと!」

「ふふっ、私もよ」

「私も、大好き!ありがとう」

ナミちゃんにギューっと強く抱きしめられ、泣きそうになった。
仲間でしょ!?って怒ってくれたのは初めてだし、頼っていいとも言ってくれた。また裏切られるかと怯えていた私に、ナミちゃんとロビンちゃんは寄り添ってくれた。
ゾロとの関係を、ルフィくんとの関係を、崩したくなくて逃げ続けていた。でも、寄り添ってくれるナミちゃんやロビンちゃん、そして想ってくれているゾロに失礼だ。

「ゾロ、話があるの」

「わかった」

赤ずきんの衣装を着た私と、オオカミ姿のゾロ。その2人が教室を抜ければ変な歓声が上がるが、私たちは振り返らず外に出た。



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