はじまりはここからでしたね
  





「はぁ?マネージャー?」

驚くよね。私だって驚いた。
練習見に行っただけなんだけど…。
けど、嬉しかったんだよ。



偶然火神君と同じ電車になって、練習見に行きたいなんて言ってしまった。
けど、彼は嫌な顔一つしないで「来いよ」だけ言ってくれた。

それで体育館の入り口で見てた。
中に居た、女の先輩が頻りにこっちを見ていたけど。

(やっぱり良い気分されないよね。折角練習してるんだし…)

ちょっと自己嫌悪に陥ってた。
終わってから、そんな負の感情を一気に吹き飛ばしてくれた。
今でもその時のドキドキがおさまらない。


「それで、どうするんですか?マネ」
「……即答は出来ないんだ。ちょっと相談しないと…」
「相談?って誰に?」



その言葉に私は苦笑いするしかなくて、

その笑いに二人は不思議そうな顔をしていた



「とにかく、カントクも放課後見に来てって言ってましたから放課後一緒に行きましょう」

黒子君の言葉に頷くことしかできなかった。


ごめんね、今はまだ言えない。


そんな申し訳なさを抱きながら、授業を受けた。

心の中は複雑だらけだけど、
それでも、楽しみの方が多かった。


早く、放課後になって。





「…なぁ、黒子。マネしてくれると思うか…?」
「どうでしょうね。なんだか、深刻そうでしたけど」
「…だな」




((…なって欲しいんだけど…))




「あ、来た!水稀さん〜!!こっち、こっち!!」
「こ、こんにちわ」


放課後、やっと体育館に来れた。
黒子君と火神君は着替えてくるからって途中で離れから、体育館に来た。
そしたら、朝話しかけてくれた、先輩が大きく手を振って迎えてくれた。



「いらっしゃい!待ってたよ〜あれ、二人は着替えか」
「はい。先に行っててくれって…」


だから少し心細かったけど、先輩の顔を見たら、むしろ安心した。

「あの、先輩はマネさんじゃないんですか?」
「私は監督なの。兼マネもしてるけど、さすがに一人でこなせなくなって来たからね」

それは大変だ。
すごい逞しいんだ、この人。

「あ、自己紹介ね。相田リコです。よろしく〜」
「水稀翠南です」

じゃぁ、ココで見といてね。何かあれば声掛けてね。
そう言って、部員さんの所に行ってしまった。


そうか、だからあの時黒子君「カントク」って言ったんだ。


それから少ししてから、黒子君と火神君が体育館に来た。
すぐに練習が始まったから、話は出来なかったけど、
「ちゃんと見てて」って意思が伝わってきた。
(勘違いかもしれないけど…ね)



……此処のバスケの練習はすごい。
体力作り、筋トレ、基本動作。何につけても、選手の体に合ってる練習方法だった。
これなら、怪我とかしないだろうな。
これ、カントクさんが一人で考えてるの?
タダものじゃないよ。


練習が一区切りついたのか、みんなコートの端に寄って来た。

「どうでしたか?練習は」
「すごいね。量も半端じゃないけど、何よりメニューがすごいよ」
「え?」
「基本に忠実。けど、どれも体作りに必要不可欠なものばかりだもん…って、あれ?」


「「「「………」」」」
「あ、はは…すみません、生意気いって…!」

「いや、構わないんだけど……水稀さんだっけ?スポーツとかしてた?」

メガネかけた先輩が不思議そうに問いかけた。
そりゃそうだよね…

「…身内にスポーツしてる者が居まして…それで…」
「あ〜なるほど〜」みんな納得してくれた。…嘘は付いてない。





「……ふふふふ、益々気に入ったわ!!水稀さん!お願いマネになって!!」







「…すみません。少し考えさせて下さい」







その時のカントクが泣きそうになった顔
とても罪悪感がありました。

けど、私一人で答えは出せないんです。







あなたに泣き顔は似合いません




(ごめんなさい…)
(いい、いいのよ!ちゃんと考えてくれたら!!)
((カントク、声震えてる……))
((マジで泣きそうだな…))






長くなった!リコたん、ごめんね




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