君は僕の大きな存在なんです
  





まだ火神君が来てません。


珍しい事もあるもんだと、悠長に構えてたのがいけなかった。
まさか、あんな光景見るなんて。
昨日の出来事に、浮かれていたのが駄目だったのだろうか。




「あれ、まだ火神君来てないの?」
「みたいです。」
「しょうがないわね〜。けど、いつもなら来てるのにね」

何かあったのかしら?
そう、本当に珍しくこの時間に来てないなんて今までなかった。


「ち、ちーす!!」
「あ、来た。遅い火神君!早く柔軟しなさい……?あら?」
「すんません。…んじゃ、そこで見てろよ」

見てろ?誰に?
振り返って火神君の方を見た。


え?

「なぁなぁ!黒子、火神って彼女居たの!?」
「……」
「黒子?」
「あ、すみません。いえ、聞いた事ないですが…」

小金井先輩の話もほどほどに切り返した。
彼女?そんなの僕が聞きたいくらいで。


「あれって水稀だよな」
「可愛いって有名だからな〜」

降旗君達の会話がやけに大きく耳に入ってきた。


有名…確かに可愛い。
けど、彼女はそれだけじゃない。


「うす、黒子」
「…おはようございます。…また珍しい組み合わせですね」
「あ?あ、あぁ。今朝電車一緒でよ。んで、練習見たいって言うから」


連れてきた。

少し、笑いながら言った彼の表情に、嫌な予感しかなかった。
良い友人で、相棒。
なのに、こんな形で……


「そうですか」

それしか言えなくて。
そのまま彼から離れた。
そして、彼女の居る入口に目を向けた。


ペコ
(おはよう)


そう、彼女の唇動いた。
間違いなく、僕に向けられた。



とてつもなく嬉しくて、さっきまでのモヤモヤが一気に吹っ飛んだ。




(おはようございます。水稀さん)




あとで、彼女に言おう。
そしたらきっと、あの時の笑顔で笑ってくれるはず。





そしたらきっと、また君を好きになる。





僕の中の君の存在





(あれ、黒子機嫌良くなった?)
(さっき俺が話しかけたら素っ気なかった…)
(泣くなよ。コガ…)





黒子様が黒い!んで、コガ先輩、ごめん!




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